約 527,732 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/456.html
ティガれみりゃ ======================== ≪はじめに≫ 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 ややパロディネタが多めかもしれません。 自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 続きものです。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 1、絶対強者 「うーうー!」 小高い山を越え、うーぱっくの群れが空を飛ぶ。 その数は30を越え、それぞれ背中にゆっくり達を載せている。 自慢のダンボールは、パンパンに膨れあがっており、 うーぱっくは、汗らしきものを浮かべて、「うぅーうぅー」と肩(?)で息をしている。 ダンボールの中には、人間達から盗んだ大量の野菜や、お菓子がつめられていた。 「ゆゆっ! しかっりしてよね、うーぱっく!」 「そうだぜ! はやくしないと、まりさ達がドスに怒られちゃうんだぜ!」 自分達は何もせず、うーぱっくに注文を出す、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 人間から盗みを働いた首謀者達だ。 「う~っ!」 力を振り絞り、岩山を越えていくうーぱっく。 すると、岩山の向こうには、直径500mほどの窪地が広がり、 無数のゆっくり達が、ゆっくりしていた。 「う~♪」 すごい! うーぱっく達は感心した。 これだけの数のゆっくりが、ゆっくりできる場所は、そうそう無い。 岩山の中の窪地は、緑こそ少ないものの、 適度に草花がはえ、岩の隙間からは清水が湧き出ている。 また、岩と岩の間には無数の洞窟があり、そこに入れば雨風も防げそうだ。 なにより、山間のこの窪地は、教えて貰わなければちょっと発見できそうにない。 他の捕食種とよばれるゆっくりや、野生の動物からも容易に身を隠せるだろう。 「うっうー♪」 れいむを背中に乗せ、先頭を飛ぶうーぱっくが、 後ろを飛ぶうーぱっく達にかけ声を飛ばす。 目的地が見え、「うーっ♪」と応えてテンションを上げる、うーぱっく達 これだけの群れに、これだけの量の食料を運ぶのは、 うーぱっく達にとっても初めてのことだった。 "頼まれ物を運んで、お礼をもらう" この習性を、自分達にしかできない大事な仕事だと考えるうーぱっく達にとって、 今回の依頼は、大変きわまりなかいものだが、それでも充実感を覚えていた。 「ゆっ! ドスまりさだ!」 嬉しそうに叫ぶれいむ。 うーぱっくが下を見ると、巨大なゆっくりまりさと、 その傍らにベッタリよりそっている、これまた巨大なゆっくりアリスがいた。 まりさは全長3メートルほど、 アリスもまりさほどではないが、ゆっくりとしては破格の2メートル級の体を持っていた。 俗に言う、"ドス種"。 ドスまりさと、クィーンアリスだ。 「おいっ、うーぱっく! ぐずぐずしないで早く下りるんだぜ!」 ドスまりさの所へ下りるよう催促する、まりさ。 余談だが、このまりさはまりさ種の中でも、タチが悪いとされている"ダゼまりさ"だった。 しかし、心優しいうーぱっく達は、まりさの横柄を気にとめず、 ドスまりさの前に、ゆっくりと着陸する。 『ゆゆっ! おかえり~! 食べ物は集まったの?』 巨大なドスまりさが口を開く。 「もちろんだよ、ドスまりさ!」 「そうだぜ! まりさ達の華麗な仕事っぷりを見せてやりたかったぜ!」 うーぱっくの背中からピョンと飛び降り、ドスの前で胸(?)を張る、れいむとまりさ。 実際、いちばん苦労したのはうーぱっく達なのだが、 このれいむ達にとって、そんなことは関係無い。 「もう! なにしてるの、うーぱっく! はやくれいむ達のご飯を、ドスに見せてね」 「うー!」 うーぱっく達は、ガサゴソとダンボールの蓋を開き、 中に押し込められていた大量の食べ物を地面に下ろしていく。 『ゆぅ~っ! すごぉ~い!』 『それでこそ、とかいはのアリスとまりさの子供達よ!』 感嘆の声を上げるドスまりさと、クィーンアリス。 ちなみに、れいむもまりさもクィーンアリスの子供ではないのだが、 どうやらアリスの中では、愛しのドスまりさとの間にできた子供…という設定が完成しているらしい。 勝手な思いこみに違いなかったが、ドスまりさ自身、クィーンアリスには好意を持っていたし、 他のゆっくり達にとっても、強大なクィーンアリスに愛されることは、損ではなかった。 「さっそくみんなで食べようよ、ドスまりさ!」 れいむがピョンピョン跳ねて、ドスまりさを急かす。 そこに、体付きのゆっくりぱちゅりーが現れ、ワガママなれいむを戒めた。 「むきゅ! だめよれいむ。これは冬を越えるための大事な食料なんだから」 このぱちゅりーと、ドスまりさ、クィーンアリスは、子供の頃からの付き合いで、 3人で協力してこの場所をみつけ、この一大ゆっくりコロニーを築きあげたのだった。 ぱちゅりーは体が弱く、ドスまりさやクィーンアリスのように力は無かったが、 そのぶん知恵がまわり、この群れの参謀役を務めていた。 「ったく、ぱちゅりーはいつもケチケチだぜ!」 悪態をつく、まりさ。 『まぁまぁ、れいむやまりさも疲れているだろうし、一口だけ食べようよ? それで残りは冬支度に回す……ぱちゅりーもそれでいいよね?』 「……むきゅー。ドスまりさがそう言うなら」 「わーい! だからドスまりさ大好きぃー!」 喜ぶ、れいむとまりさ。 「なになに~ごちそう?」 「わかるよー。みんなで食べるよぉー」 「ちぃーんぽ!」 すると、いつの間にかこの窪地に住む他のゆっくり達も集まりだしていた。 皆、この御馳走のご相伴にあずかろうという腹づもりだ。 「むきゅ!そんなに食べたら……」 『も~しょうがないなぁ。みんな一口だけだよ?』 止めようとするぱちゅりーを遮り、 群れのリーダーであるドスまりさが、許可を出してしまう。 「「「「いっただきまぁ~す!」」」」 言うや否や、何十匹ものゆっくりが、いっせいに食べ物にむしゃぶりつく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこれ、めっちゃうめぇ!」 「しあわせぇ~♪」 ゆっくり達は、人間達から盗んできた御馳走を貪り食っていく。 既に"一口だけ"の約束が忘れ去られてしまっていることに、気を揉むぱちゅりー。 そして、気を揉む存在がこちらにも。 「「「うーうー!」」」 うーぱっく達だ。 食事に夢中なゆっくり達を囲み、催促するように鳴き声をあげる。 うーぱっく達は、頼まれた物を頼まれた場所に届け、 その御礼として食べ物を分けて貰うことで生態を成り立たせている。 これだけの量の食べ物を運んだのだから、相応の御礼を貰わなければつりあわない。 「ゆっ?」 「なんだぜ、うーぱっく! せっかくまりさ達が御馳走を食べてるのに!」 面倒くさそうに食べるを止め、小うるさそうにうーぱっく達を見る、れいむとまりさ。 「うーっ!うーっ!」 うーぱっくは、羽をパタパタと動かし、ゆっくり達が食べる御馳走を指差す。 うーぱっく達にもわけて~というアピールだ。 だが、そんなうーぱっく達に対し、れいむとまりさはバカにしたように目を細める 「見ろよれいむ、たかだか運び屋のぶんざいで、まりさ達の御馳走をねだってやがるぜ」 「おお、あさましいあさましい」 そう言うと、れいむとまりさは人間の家から盗みだしたお菓子をくわえ、 うーぱっく達の目の前で「むーしゃむーしゃ」と食べ始めた。 「「「うー!?」」」 驚くうーぱっく達。 目こそいつものニコニコ目だが、互いの顔を見合わせ少なからず動揺を露わにする。 そして、ゆっくりの中では、かなり頭の良い部類に入るうーぱっく達は、一つの結論を導き出す。 すなわち、このゆっくり達は、最初から自分達をいいように利用して騙すつもりだったのだと。 「「「うーっ!」」」 一同、抗議の声を上げるうーぱっく達。 温厚なうーぱっく達だが、契約不履行の不届き者には、相応の態度を見せる。 羽を動かし、ペチペチとれいむとまりさの頬を叩き、驚いた隙に食べ物を奪い去る。 「ゆゆっ! なにするの!」 「やめるんだぜ! それはまりさ達のものだぜ!」 「「「うーうー!」」」 構わず、同じようにペチペチとゆっくり達の頬を叩いては、食べ物を奪っていくうーぱっく。 ニコニコと笑ったままのその顔が、逆に恐ろしい。 「ゆっくりやめてね!」 「それはとかいはのアリスのものよ! いなかもの!」 「わからないよー!」 「ゆっくりできないうーぱっくは、ゆっくりいなくなってね!」 うーぱっく達の正当な抗議に、不満を叫び出すゆっくり達。 だが、空を飛び、しかも団体行動になれているうーぱっく達の連携に、 食べ物は次々奪われていく。 「「「ゆぅぅ~~! ドスまりさぁ~~!!」」」 たまらずドスまりさを呼ぶ、ゆっくり達。 そのドスまりさといえば、クィーンアリスとともに自分の食事をするのに夢中であった。 『……ゆぅ~~~? どうしたのみんなぁ?』 言われるまで気づかないというのが、いかにもゆっくりらしい。 ドスまりさは、しばらく間を置いてから、ようやくゆっくり達に呼ばれていることに気が付いた。 『ゆゆぅぅぅっ! なにしてるのうーぱっく!!』 その光景を見て、驚くドスまりさ。 自分の群れのゆっくり達が、うーぱっくに虐められ、 苦労して集めた御馳走を横取りされているではないか! ……と、ドスまりさのゆっくり脳は瞬時に都合良く解釈した。 しかし、いかなゆっくり脳の持ち主とはいえ、 くさっても巨体と長寿を誇るドスまりさ。 こうなると群れを率いるリーダーとして、都合良く燃え出すのであった。 『ゆぅぅぅっっ!』 「う~?……うぎゃ!」 ドスまりさは、ぐにょんと体を下に押し込めたかと思うと、反動をつけて前方にとび跳ねる。 そして、目の前にいたうーぱっくに体当たりをしかけ、窪地の周囲の岩壁に叩きつけた。 「「うーっ!?」」 驚いたのは、うーぱっく達。 通常、ドスまりさは巨体に見合った経験と知識も併せ持っており、 今回の件の非がどちらにあるかは、自ずとわかってもらえると期待していたのだ。 『うーぱっく! まりさの仲間を一方的にいじめるなんて、絶対にゆるさないよ!』 「「ううーーー!??」」 全然、期待通りにはいかなかった。 戸惑い、慌てるうーぱっく達。 「むきゅ! まりさ、うーぱっく達は……」 『ぱちゅりーは黙っていてね! まりさはみんなを守るよ!』 うーぱっく達の抗議の理由を知るぱちゅりーが、ドスまりさを止めようとするが、 変な使命感のスイッチが入ってしまったドスまりさは止まらない。 このドスまりさは、確かに長い時間を生き、ドスの名にふさわしい巨体と力を得ていた。 だが、本来一人で生きて得るはずの知識や思慮を幼なじみのぱちゅりーの頼りっぱなしにしてきたため、 どうにも考えの足りないドスまりさになってしまっていた。 「「うーっ!」」 だが、うーぱっく達は、そんなことは知らない。 羽を動かし、自分達が運んできた食料を指す、うーぱっく。 なんとか自分達の誤解をといて、わかってもらおうとする。 『……わかったよ、うーぱっく』 「「うー♪」」 『うーぱっく達は、まりさ達を騙して食べ物を横取りするつもりだったんだね!』 「「うううーっ!???」」 全然わかってなぁーい! うーぱっく達は、全員が同時に心の中でツッコミの声をあげる。 『まりさ達をゆっくりさせないうーぱっくは、ゆっぐりじねぇぇぇぇぇっっ!』 ドスまりは天高く舞い上がり、その巨体を地面に叩きつける。 何匹かのうーぱっくが、その巨体の犠牲となる。 「「ううーっ!」」 これ以上ここにいてはいけない! うーぱっく達は身の危険を感じ、一目散に空高くへ舞い上がる。 「「うわぁぁーん! ドスまりさなんてきらいぃぃー!」」 自分達の誇り高い仕事が失敗に終わったこと、 つらい時も楽しい時も一緒だった、大事な仲間を失ったこと、 うーぱっく達は、目から涙を流して飛び去っていく。 だが。 『逃がさないよ!うーぱっく!……ひぃぃ~~~~っさつ!』 ドスまりさは、大きな口を思い切り開く。 すると口の中から淡い光がもれはじめ、瞬く間にまぶしい程の輝きを放ち始める。 「ゆゆっ!出るよ、ドスまりさの必殺技!」 「やっちゃうんだぜドスまりさ! バカなうーぱっくどもに身の程わからせてやるんだぜ!」 『すてきよぉぉまりさぁぁぁ!』 「む、むきゅう~!だ、だめよぉ、まりさぁ!」 事情を理解しているぱちゅりーを除いて、俄然もりあがるゆっくり達。 クィーンアリスに至っては、ドスまりさの勇姿に目をトロ~ンとさせている。 『ひっさつ!ドスパァァァーク!!』 「う、ううぅぅぅぅぅーーーっ!」 叫ぶと同時にドスまりさの口からレーザーが発射される。 そのレーザーは空を切り裂き、泣きながら逃げ去るうーぱっく達を直撃した。 超高温のレーザーは、ダンボールでできたうーぱっくの体を一瞬で焼き尽くし、 そらからは燃えかすとなったうーぱっく達がボトボトと地面に落ちていく。 「「「ゆぅぅぅ! すごぉぉぉーい!」」」 その圧倒的な威力に、群れ全体から感嘆の声があがる。 ドスまりさは群れのゆっくり達にむき直り、誇らしげに胸(?)をはった。 『みんなのことはまりさが守るよ! だから安心してゆっくりしてね!』 「「「ゆっくりぃぃ~~~♪」」」 喜びの声をあげるゆっくり達。 ただ一人、ぱちゅりーだけが浮かない顔して、岩の隙間の洞窟へと入っていく。 「むきゅう……」 今回の件の非は、あきらかにこちらにある。 なにか悪いことが起きなければよいけれど……。 その不安からか、ぱちゅりーは体に疲れを覚え、洞窟の奥で眠りについた。 けれど、このぱちゅりーの予感は、すぐに当たることになってしまう。 数時間後。 空には満月が登り、本来ならばゆっくり達も眠りにつく頃。 だが、山間の窪地では、いまなお多くのゆっくり達が食べや歌えやで大騒ぎをしている。 「ゆっゆっゆっ~~♪」 「だぜだぜだぜぇ~~♪」 『すごぉーい! みんなお歌が上手だねぇ!』 『さすがとかいはのアリスの子! 良いセンスをしてるわぁ!』 昼間の一件で、すっかりテンションの上がってしまったドスまりさの群れは、 あれからずぅ~と宴会を開いていた。 もはや、ぱちゅりーとの"冬の支度のために食べ物をとっておく"という約束は、頭の中になかった。 ゆっくり食べてはゆっくり踊り、ゆっくり食べてはゆっくり歌う。 「ゆゆゆ~~ゆゆゆ~~♪」 「だぜだぜ~~だぜだぜ~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆっ?』 ドスまりさは疑問に思った。 今、群れのれいむ達の歌に混じって、何か聞こえたような? 「ゆゆゆゆ~ゆゆゆゆ~ゆっゆっゆっ~~~♪」 「だぜぜ~だぜぜ~だっぜっぜぇ~~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆゆっ!?』 「「「ゆゆゆっ!?」」」 やはりだ。 気のせいじゃない。 今度はドスまりさだけじゃなく、他のゆっくり達にも聞こえたようだ。 ゆっくり達は、ひとまずバカさわぎを止め、あたりを見回す。 だが、本来夜の間は寝るのが"殆どの"ゆっくり達の生態のため、 ゆっくりの中で夜目が効く者はほとんどいない。 が、それにも関わらず。 ソレの存在はゆっくり達にもハッキリ視認できた。 『あれは、ゆっくりゃザウルス!!』 一番最初にみつけたクィーンアリスが叫び、それに呼応して他のゆっくり達もそちらを見る。 ゆっくり達の視線の先。数百メートルは離れた位置。 そこには、よたよたドタドタ踊るようにステップを踏み、ゆっくり達に近づいてくる不思議な生物がいた。 長生きをしていたクィーンアリスと、ドスまりさは、己の経験に基づきその生物をこう認定した。 あれは、ゆっくりゃザウルスだと。 ゆっくりゃザウルス。 それは、代表的な捕食種・ゆっくりれみりゃの亜種である。 亜種という意味では、昼間ドスパークの餌食になったうーぱっく達もそうだが、 近年比較的多く見かけるようになったうーぱっく達と異なり、 ゆっくりゃザウルスは、非常に見かけるのが希な亜種……即ち希少種であった。 その姿は、人間からみれば愛らしくも映る。 体つきのゆっくりれみりゃが、ダボダボくたくたの恐竜の着ぐるみを纏ったような姿。 それが、ゆっくりゃザウルスの特徴だった。 ずいぶんとディフォルメされた緑色の恐竜の、大きく開かれた口から、 れみりゃ種特有の「うーうー♪」という下ぶくれ気味の笑顔が覗いている。 体は筋肉質とは程遠く、まるでクッションかヌイグルミのような柔らかさで、 お腹のあたりに、有袋類…といえば聞こえが良いが、どう見ても縫いつけたような大きなポケットがある。 「ゆゆゆゆ~!大変だよ!れみりゃだよ!」 あれが、自分達を食べる捕食種の一種だと知り、慌てるれいむ。 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむの方がおいしいんだぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉーーっ!?」 にわかに群れに広がるパニック。 だが、ドスまりさがそれを鎮める。 『大丈夫! 安心してよみんな!』 「ゆゆっ?」 「わかるよ~! こっちにはドスまりさがいるんだよ~!」 『まりさとアリスにとって、ゆっくりゃザウルスなんて敵じゃないよ!』 そう言って笑顔を向けるドスまりさ。 「なんて頼もしいんだ!」群れのゆっくり達は、ドスの笑顔に安心して落ち着きを取り戻す。 『まりさとアリスは、もっと小さき時に……それこそみんなと同じくらいの時に、 ゆっくりゃザウルスを倒したことがあるんだよ♪』 「「「すっごぉ~~~い!」」」 再びあがる感嘆の声。 それを誇らしげに受け止めるドスまりさ。 ドスまりさの言ったことは確かに事実であった。 ……もっとも、ゆっくりゃザウルスのことを良く知るものが聞けば、 それが大した自慢にならないこともわかるのだが。 ゆっくりゃザウルスは、確かに希少種だ。 だが、希少なのには理由がある。 すなわち、ゆっくりゃザウルスは、れみりゃ種の中でも"最も弱い"種類だからだ。 亜種の多い、ゆっくりれみりゃだが、一応それぞれに進化と思われる特徴を持っている。 体が無く、耳のあたりに羽をつけているタイプは、れみりゃ種の中でも最もバランスが良い。 飛行能力も高く、蝙蝠やイルカにも似たエコーロケーション能力を持っており、 暗い場所でも自由自在に動くことができる。 うーぱっくは、敏捷性や攻撃能力では上記のれみりゃに劣るものの、 そのぶん他の物(者)を上に載せて飛ぶ能力にすぐれている。 また、協調性に優れ、ゆっくり達の運送屋さんとしての地位を確立することで、 自然界の中で主立った敵を作らず、共生関係を築き上げていた。 胴体と四肢のついたれみりゃは、紅魔館のすぐそばでよく見かけられる。 重たい体がついたのが逆効果となり、飛行能力・運動能力は明らかに低くなっているが、 それでも(極めて不器用ではあるが)手足が使えるメリットは大きいし、 なにより紅魔館の主の姿と似ているために、館のメイド達から寵愛を受けられるという面もある。 ……では、ゆっくりゃザウルスはどうか? 悲しいかな、これといって優れた点が無いのだ。 背中から羽は失われ、空を飛ぶことはできない。 手足や指先は恐竜のヌイグルミ状になっているため、細かい作業も全くできない。 ずんぐりむっくりした体は重たく、生きる上で極めて燃費効率が悪く、すぐ疲れてしまう。 おまけに、なまじ体が重くなったぶん、本人は強くなったと勘違いし、無駄に気が大きくなる傾向がある。 では、なぜそんなにも不都合だらけのゆっくりゃザウルスへと姿を変える必要があるのか。 それは、ゆっくりの研究者達の間でもまだ解明されていない。 いずれにせよ、そんなゆっくりゃザウルスであるが故に、 本来獲物であるはずのゆっくり達に、逆に返り討ちにあってしまうこともままあるのだ。 まして、ドスまりさとクィーンアリスからみれば、 逆に向こうから美味しい肉まんがやって来たようなものだ。 「ティ~ガティガティガ♪」 歌いながら、えっちらおっちら満面の笑顔で歩いていくるゆっくりゃザウルス。 その声が、徐々にはっきり聞こえてくる。 『ゆぅ~♪ みんな、今日はおいしい肉まんがたべられるよ♪』 「「「わぁ~~い♪」」」 余裕のゆっくり達。 しかし、その余裕がゆっくり達に、本来気付くべき疑念を忘れさせてしまっていた。 なぜ、数100メートルも先のゆっくりゃザウルスを、夜目の効かないゆっくり達が見えているか。 なぜ、まだまだ遠くにいるはずのゆっくりゃザウルスの歌が、こんなにもハッキリ聞こえるのか。 そして、なぜゆっくりゃザウルスが近づいてくるたびに、地面がドシンドシンと揺れるのか。 数秒後、ゆっくり達は嫌がおうにも、その理由をわからされることになる。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 「「「『ゆげぇっ! お、おおきぃぃぃぃっっっ!!??』」」」 目の前まで来て足を止めたソレを見上げ、一同に驚愕の叫びをあげるゆっくり達。 ドスまりさとクィーンアリスさえ、呆気にとられてソレを見上げている。 身長はゆうに10メートルを越え、尻尾の部分をあわせた全長は20メートルにも届かんほどだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ソレは、自らがれみりゃ種であることを示すように、自らの存在を知らしめるように、 両手を顔の横に上げ、れみりゃ種特有の"れみりゃダンス"を行った。 「「「ゆゆゆゆっ!」」」 ソレがダンスのステップを踏む度、地響きが起こり、小さなゆっくり達を震えさせる。 『や、やめてよね!ゆっくりゃザウルスのくせに、まりさ達をおどかさないでね!』 ぷく~と頬を膨らませ、見上げるソイツに告げるまりさ。 一方、そのれみりゃは不思議そうに、首をひねった。 『う~? ゆっくりゃザウルス?』 『そうだよ! おまえのことだよ! 自分のこともわからないなんて、ゆっくりゃザウルスは本当にバカなんだね!』 『うーうー! れみりゃはぁー、ゆっくりゃザウルスじゃないどぉー♪』 『え?』 『れみりゃはぁ~♪』 にぱぁ~☆と満面の笑顔を浮かぶ。 『ティガれみりゃだどぉー♪』 そう、この巨大なれみりゃは、ゆっくりゃザウルスではなかった。 圧倒的な巨体と力を持つ、ドス種を越える超巨大・突然変異ゆっくり、ティガれみりゃだったのだ! 『……ティ、ティガれみりゃだなんて知らないよ! バカなれみりゃはおとなしくまりさ達に食べられてね!』 巨体にプレッシャーを感じつつ、あくまで虚勢を張るドスまりさ。 他のゆっくり達も、ドスまりさなら負けるハズないと、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「そうだよ! ばかなれみりゃはゆっくり死んでね!」 「ドスが、おまえなんかに負けるわけないんだぜ!」 ゆっくり達が、わーわーと騒ぎ立てる。 それ見回してニコニコするティガれみりゃ。 『うー♪ おいしそうなおまんじゅうがいっぱいだどぉー♪』 そう言うと、ティガれみりゃはクィーンアリスを片手で掴み上げ、口の前へと運ぶ。 『ゆぅ!?』 「クィーンアリスが!」 「おとなしくアリスを離すんだぜ!」 あっさりつかまってしまった群れのナンバー2に、ざわめくドスまりさとゆっくり達。 当のクィーンアリスは、頬を膨らませて、ティガれみりゃを罵っている。 『これだからマナーを知らないいなかものは! とかいはのアリスにこんなことしてただですむと思わないでね!』 そんなアリスをじぃ~っと見つめて観察するティガれみりゃ。 『うぅ~♪ よくみるとぶさいくなおまんじゅうだどぉ』 『ゆぎぎぎぃぃぃぃぃっ! とかいはのアリスに向かってよくもぉぉぉっ!』 逆上するクィーンアリス。 対するティガれみりゃは…… 『うー♪ うるさいおまんじゅうだどぉ♪』 と言ってから、そのまま「あ~~ん」と大口を開け、クィーンアリスにかぶりついた。 『ゆげぇぇぇぇぇえ!』 『あ、アリスゥゥゥッッッ!!』 たまらず断末魔を上げるクィーンアリスと、ドスまりさ。 クィーンアリスの体はたった一口で半分がえぐりとられ、その生命活動を停止させた。 『う~♪ がじがじ~♪』 そのまま美味しそうにクィーンアリスの残骸を食べ続けるティガれみりゃ。 2メートルあった、クィーンアリスの体も、数秒で消滅してしまった。 『うっうー♪ おいしかったどぉー♪』 舌をペロリと回し、口の周りについたクリームを舐めとるティガれみりゃ。 その光景を見ていたドスまりさの怒りは、既に限界を遙かに超えていた。 『ゆぎぎぎぎぎぎぎ……ゆ、ゆるさないっ、ぜぇったいにゆるさないぃぃぃぃっ!!!!!』 『う~?』 『ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇ!!!!!』 「で、でるぜ! ドスの必殺技!」 『ドスパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーク!!!!!!!』 ドスまりさは口を開け、高温のレーザーを放つ。 怒りにまかせて全ての力を結集したそれは、昼間うーぱっくを仕留めたのとは比較にならない程の出力となる。 夜の闇を、貫くドスパークの光。 これを受けて無事なゆっくりなどいるはずがない。 いや、人間はおろか妖精や妖怪とてただでは済むまい。 『……うぅぅぅぅぅ! アリスぅぅぅぅ、かたきはとったよぉぉぉぉぉ!』 嗚咽混じりで天に吠えるドスまりさ。 誰よりキレイだったクィーンアリス、彼女はお空のお星様になってしまったんだ。 ドスまりさとゆっくり達はそう思い、ドスパークの衝撃で巻き起こった土煙の先、 クィーンアリスのお星様を見ようと、夜空を見上げようとする。が。 『う~? なんかあったかいどぉ~…なんだか汗かいちゃったどぉ~♪』 「「「『ゆ、ゆげぇぇ!?』」」」 見えるハズのお星様が見えず、 見上げた先には、変わらずティガれみりゃが立っていた。 その体には傷一つなく、下ぶくれの笑顔に少し汗をかいているだけだった。 『どぉじでぇぇ! なんでドスパークがぎがないのぉぉぉぉぉっ!!??』 『う~、汗かいたら、またおなかすいちゃったどぉ~♪』 ティガれみりゃは、おなかのあたりをおさえ、少し頬を紅潮させた。 "こーまかんのれでぃーである"という自負からなのか、 食べてすぐ、またおなかをすかせることが恥ずかしいようだ。 とはいえ、そこはゆっくり。 恥じらいよりも、まずは欲求に従う。 そこはティガれみりゃといえど、変わらなかった。 『ぎゃぉー♪ いっただきまぁーす♪』 『ゆべぇ!!?? 、は、はなじてぇぇぇぇ!!!』 「「「どどどど、ドス!?」」」 足下ではねまわるドスまりさを難なく掴み上げると、口の前に運ぶティガれみりゃ。 『がじ、がじ、がじぃ~♪』 『ゆべっ!うげぇ!ゆぶぁ!!』 みるみるドスまりさの体は小さくなっていき、 10秒もたたずに、全てティガれみりゃの口の中に消えていった。 『う~、おいしぃ~♪』 「「「…………」」」 あまりにも信じられないことが起きた時、人は一切の思考が働かなくなる。 それは、ゆっくり達にもあてはまるらしい。 なすすべ無く食べられるドスまりさを目の当たりにした無数のゆっくり達は、 ただ無言のまま固まってしまっていた。 一方、ティガれみりゃはというと、お腹についたポケットの中に手をつっこみ、 何かをゴソゴソと取り出した。 『うっう~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる~♪』 まるで、22世紀の猫型ロボットが便利道具を取り出すように、 ティガれみりゃはポケットから、引き抜かれた立ち枯れの木を取り出し、天に掲げた。 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 誇らしげなティガれみりゃの様子に、本能的に身の危険を感じるゆっくり達。 金縛りをといて、それぞれ四方八方に逃げだそうとする。 『ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪』 「「「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁっっっ!」」」 ゆっくりプレイスだったハズの山間の窪地は、あっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 『れみりゃのおだんごぉー♪ とぉーってもおいしぃーどぉー♪』 ティガれみりゃは口ずさみながら、比較的大きめのゆっくりを摘むと、それを次々枯れ木に刺していく。 「「「ゆげぇ」」」 鳴りやまないゆっくり達の悲鳴。 あるゆっくりは岩陰や洞窟に逃げ込もうとするが、 ティガれみりゃは「うー、岩いらなーい!ぽいぽいぽぉーーい♪」と、 岩そのものを持ち上げどけて、隠れていたゆっくり達をつまみだした。 『うー、すごいどぉー! れみりゃは狩りの天才だどぉー♪』 やがて、そこそこ育って美味しそうなゆっくりを全て枯れ木に刺して、 ゆっくりだんごを完成させたれみりゃは、満足そうに自分を讃えた。 自分達は助かったのか? そう思った残りのゆっくり達は、おそるおそる隠れていた場所から外へでる。 『う~~~う~~~♪』 しかし、ティガれみりゃがリズムを刻みだしたのを見て、ゆっくり達は己の軽率さを憎み、 そして、短いゆっくり人生の終わりを実感するのだった。 『うっうーうぁうぁー♪ うっうーうぁうぁー♪』 どっすんどっすんと、喜びのダンスを踊るティガれみりゃ。 なんとかゆっくりだんごを逃れたゆっくり達も、あるものは踊るティガれみりゃの足や尻尾に潰され、 あるものは、ティガれみりゃのステップの影響で岩や土が崩落し、その餌食となった。 ゆっくり達の理想郷は、こうして壊滅した。 ……そう、一人の目撃者を除いて。 翌日。 ティガれみりゃの襲来をやりすごした目撃者。 その生き残りは、ティガれみりゃへの恐怖と、震えたまま動けなかった自分を呪い、 洞窟の奥から出ることが出来ずにいた。 「む、むきゅぅぅぅ……」 その生き残りの正体は、洞窟の最奥、もっとも地盤の安定した箇所に隠れていたぱちゅりーだった。 群れの全滅を嘆き、幼なじみのドスまりさとクィーンアリスの死を悲しみ、泣き続けるぱちゅりー。 昨夜、先に寝ていたぱちゅりーは、外が騒がしいのに気付き、一度は目を覚ました。 だが、外へ出ようとしたその刹那、ドスまりさがティガれみりゃに食べられるのを目撃してしまったのだ。 どうするべきか全くわからなくなってしまったぱちゅりーは、唯一残された生物としての本能、 すなわち"生き残る"という目的にのみ従って、こうして群れが全滅してティガれみりゃが去るまでの間、 隠れ続けていたのだ。 「むきゅぅぅぅぅ! むきゅうううううう!」 思い出しては、こみ上げる感情に逆らえず泣き崩れるぱちゅりー。 それから、また一日がすぎた。 朝日が山間の窪地を照らす中、ぱちゅりーは外へ出た。 その目に決意の炎を宿して。 二日近く考え抜いたぱちゅりー。 彼女は、ドスまりさ達の死を無駄にしてはいけないと考えた。 そして、生き残った自分だからこそ出来ることがあるはずだと結論づけた。 そう、他の群れにティガれみりゃという脅威を報せ、 ともに戦わなければならないと。 一方その頃、どこかの森で。 今日もティガれみりゃの歌が聞こえていた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ2・異常震域』 ============================ (あとがき) 休日出社中、上司の机に『モンハン』のティガレックスのフィギュアが置いてありまして、 気付いたらこんなものを書き始めていました。……二次設定のSS書くの何年ぶりだろう(汗 「ゆっくり好き」+「れみりゃ好き」+「怪獣好き」+「モンハン好き」 そんな作者の妄執が具現化したようなSSですが、もし楽しんでいただけましたら幸いです。 ちなみに、言う必要も無いかもですが、ティガれみりゃの歌はアノ映画の歌が原型ですw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1111.html
ゆっくり競争 まずゆっくりを眠らせて並べます。次にゆっくりに仲良く透明な大きい箱をかぶせます。 次に一本の長いロープの両端を、それぞれのゆっくりにくくりつけます。 箱には穴が開いているので、箱の後ろにロープを出します。 更にそのロープの真ん中をつまんで、適当なところまでひっぱります。 ロープはひっぱっていくと、ちょうどヘアピンのようになります。ロープをおいておきます。 次にロープのヘヤピンの頂点のところに杭をうちます。 滑車のようになります。支点ですね。 最後に、箱の中、ゆっくりの目の前にご馳走を置きます。 そして同時に起こします。 「ゆっくり食べていってね!!」 するとゆっくりは 「ゆっ ごちそうだ! ゆっくりたべるよ!!」 といってご馳走に突進します。 しかし食べられません。ロープにひっぱられ、れいむが前に出るとまりさが後ろにひっぱられ まりさが前に出ようとするとれいむが後ろにひきずられます。 途中で喧嘩になります。 「れいむはゆっくりしてね!!」 「ゆっ まりさこそゆっくりしてね!!」 「ゆっくりしね!!」 「おまえがしね!!」 しにます。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/377.html
前 「こっちににげたよ!」 「ぜったいつかまえてころすよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 ゆっくりの叫び声が廃鉱山の闇に溶けるように響く。 私が今隠れている食料庫の扉越しに聞こえるぐらいだから、相当な大きさで怒鳴っているようだ。 リーダーまりさと見張りの巨大れいむを殺されたために相当ご立腹の連中は巨大ゆっくりも通常ゆっくりも総動員してゆっくりできない人間を始末しに掛かっている。 その人間とは私のことだ、困ったことに。 今、こちらに接近中の連中は声の高さから判断するに、巨大1通常2の混成部隊らしい。 ガヤガヤと騒ぐ声がさらに大きくなってきた。 ゆっくりが跳ねながら移動するときに餅をつくような音が扉の前で止まった。 こちらは陰に隠れているために分からないが、どうやら巨大ゆっくりが扉に付いた小さな窓から中の様子を伺っているようだ。 「おにいさ~ん。もうあきらめてでてきてね~。いまならゆるしてあげるよ~。」 こちらを見つけて得意になったような声だが、実際のところ連中はこちらを見つけていない。 あわてて出てきたところを袋にしようとする程度の知能はあるらしい。 「ゆっ!ここにはいないみたいだね!むこうをさがそうね!」 「まりさはおおきくてかしこいね!これならすぐににんげんをみつけられるよ!」 でも見つけられてねえじゃん。流石通常ゆっくり、能天気なもんだ。 餅つき音が十分に遠ざかるのを待って、物陰を出て扉に近づく。 先ほど、巨大ゆっくりにフェイントを掛けられてすぐに扉に近づいた結果、こちらの姿を見た巨大ゆっくりが突撃してくるのを咄嗟に撃ち殺し、その音で更に多くのゆっくりを呼び寄せてしまった為に十分に注意しながら進む。 どうやら本当に向こうを探しに行った様だ。 ヒカリゴケがわずかな光を提供する通路に扉を開ける音が吸い込まれていく。 細心の注意を払いながら左右を素早く確認し、出口へ向かった。 何かを食べている通常ゆっくりのペアの後ろを慎重に通り過ぎ、巨大ゆっくりの巡回を隠れてやり過ごして進んだが、 後で吹き飛ばそうと先ほど決意した巨大あかちゃんゆっくりの寝室に差し掛かった所である物が視界に入ったために素早く姿勢を下げ、曲がり角に隠れる。 巡回をサボり中の巨大ゆっくり3匹が寝室に向いて何事かを話しかけていた。 「ゆー、べろべろばあ!」 「れいむのあかちゃん!もっとゆっくりしてていいよ!」 「こわいにんげんからまもってあげるね!」 困った事にこいつらのいる寝室の前を通らねば外には出られない。 手持ちの小銃は5発装填済みで巨大ゆっくりを倒すためには最低3発が必要。 距離は十分に離れているので2匹射殺するなら何とかなるが、発砲炎を見られたが最後、突進してきた3匹目に俺は踏み潰される。 畜生。何でデカいとはいえゆっくり如きを警戒せねばならないんだ。 どうする?どうやって多数の巨大ゆっくりを始末する? そう思いながら悩んでいると、隣の里が少数の戦力で多数の巨大ゆっくりを屠った事を思い出した。 連中はどうやって交戦した?こっちの集落と違って隣の里に重火器は無い。 バリスタで交戦したとかいう話だが、連射速度と射程から考えて全速突撃するゆっくりを5回撃てれば御の字だろう。それでは十分に数を減らす前に蹴散らされる。 一体どうやって巨大ゆっくりの足を止めたんだ? 荷物から資料を素早く取り出し、交戦記録の記述を読む。程なくして目的の箇所を発見。 死んだゆっくりの帽子で同士討ちを誘発したようだ。 よし、これを応用させてもらおう。 実行に必要なゆっくりを調達するために物陰から離れ、来た道を引き返した。 鉱山時代には採掘された鉱石をトロッコに積載する部屋だったそこは現在、食事の時間であれば多数のゆっくりで賑やかとなる「ゆっくり食堂」となっていた。 破滅的に下手糞な平仮名(というより、文字であるかどうかすら怪しい)を書かれた札がかかった入り口の更に奥、昼食の時間が終わった為に静まり返った食堂に二匹の通常ゆっくりがいた。 「はぁ…はぁ…おいしー!」 「ゆっ!まりさ!しずかにしなきゃだめだよ!」 摘み食い中らしき2匹は他のゆっくりに見つかることを恐れ、音を立てぬように注意を払っていたが、ゆっくりの本能に抗うことはなんとも難しかった。 慌てて周囲を見回す2匹だったが、幸いな事に気づかれた様子は無い。 体を食料に向けて食事を再開する。 「ゆっくりしずかにたべようね。」 「む…しゃ…む…しゃ…」 食事はすぐに中断した。入り口から地面を踏みしめる音が聞こえてきたのだ。 モチモチとした体を飛び跳ねさせて移動するゆっくりの立てる音ではない事をれいむは知っていた。 これは人間が歩くときの音だという事もれいむは知っている。 「ゆっ!みん…ゆっ!」 入り口を向いたれいむは大声で助けを呼ぼうとしたが、そもそも自分たちがここで何をやっているか、それを見た仲間が自分たちをどうするだろうかという事に気づき慌てて口をつぐむ。 「れいむ?どうし…ゆっ!」 遅れてゆっくりまりさが入り口を向き、人間の姿を認めて驚く。 2匹は視線を交わし、ヒソヒソと話し合ったあと、侵入者の方を向いてこう言った。 「「おにいさんもいっしょにたべていいからしずかにしてね!」」 「断る。」 「「…ゆ?」」 侵入者の返答の意味が分からず体を傾けて疑問の声を上げる2匹。 彼女たちにとってこの提案は自分たちの取り分を減らすことになる痛い物だったが、それだけに必ず効果があるだろうという物だっただけに拒否されたことが理解できなかった。 残念なことに、提案を考えたのは結局餡子であるという事だった。 2匹が正気に戻ると侵入者が近づいて来たところだった。 「おにいさん、ほしいならあげるからゆっくりまってね。」 「も~くいしんぼさんだねおにいさん!」 提案が受け入れられたと勘違いしたセリフ。しかし、侵入者は足を止めずに近づいてきた。 まるで無視されたように感じたゆっくりまりさが膨れる。 「おにいさん!はなしきいてるの?!ゆっくりとまってね!」 それでも侵入者は足を止めない。聞こえていないかのように反応すら見せない。 まりさはついに実力行使に出た。 「ゆっくりとまってね!ゆっくりとまってね!ゆっくりとまっヘェヒュ!!」 侵入者の足に体当たりを開始したまりさだったが、3回目の体当たりを放つためにセリフを放ちながら飛んだとき、妙な声を上げて彼女は落ちた。 れいむは訳がわからなかった。 いっしょにゆっくりする筈のお兄さんはまりさに棒を突き刺したような体制だったし、さっきまで元気に跳ねて体当たりしていたまりさはピクりとも動いていなかったから。 「お、お兄さん…。まりさをどうしたの?」 「こうしたんだよ。ゆっくり見てね。」 れいむの疑問に答えた彼はまりさから白色の細い板──三十年式銃剣を引き抜き、まりさを足でれいむの方に押しやった。 ぐにゃりと歪みながらまりさは半回転し、れいむの方を向く。 「ゆぅーーーーーーーーーーーっ!!!」 まりさの額がぱっくりと裂け、そこからどろどろと流れ落ちる餡子を見たれいむは悲鳴を上げる。 「まりさっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「れ…ぃむ…。この…ひとは…ゆっく…りできな…ガプッ!!」 「はいそこまでー。永遠にゆっくりしてね!」 まりさが最後の力を振り絞って親友に警告を発しようとしたが、頭上から差し込まれた銃剣に途中で阻止された。 「まりさ゛あ゛あ゛ぁ゛ーーーーーーーーっ゛!!!」 もはや摘み食いを仲間に見られる事など忘れ泣き叫ぶゆっくりれいむ。 しかし彼女が悲しみを完全に吐き出すことはできなかった。 正面から高速で襲来したつま先が彼女を乱暴に蹴飛ばし、壁に叩きつけられたのだ。 「ゆっくり静かにしていってね。すぐ終わるから。」 「ゆっ…ぐっ…まりさ゛あ゛ぁ…。」 れいむは甘い死臭を放つまりさの帽子を強制的に口の中に入れられた後、猿轡をかまされ喋れなくなった。 自身の運命を悟った彼女は必死の抵抗を試みるが、その抵抗が重心を移動させて転がるというものでは何の意味も無かった。 「じゃあ、今から仲間のところでゆっくりしようね。」 「ん゛ー!ん゛ー!ん゛っん゛んう゛うう゛う゛んう!」 リボンを捕まれ持ち上げられたれいむは痛みに耐えながら必死に揺れて自己主張をしたが聞き入れられなかった。 思い付きを実行する為に必要な物を入手した彼は、あの巨大赤ちゃんゆっくりの寝室入り口を見渡せる物陰に戻ってきて再び隠れた。 「れいむのあかちゃんはほんとうにかわいいね!ずっとみててあげるね!」 「まりさのあかちゃんもかわいいよ!」 「「おかあしゃん!ゆっきゅりしちぇっちぇね!!」」 彼は未だに寝室の前で子供に話しかける巨大ゆっくりに呆れながら、持ってきた痣だらけのゆっくりれいむを手元に置き、腰を下ろして小銃を構える。 彼はれいむの猿轡がゆるくなっているのに気がついていなかった。 ──れいむがしゃべれるようになってるのにきがつかないなんてほんとうにばかなにんげん!これでゆっくりできるよ! 「みんなー!れいむをはやくたすけてね!」 ゆっくりれいむのくぐもった救助要請に一斉に振り向く巨大ゆっくり。 れいむの口からただようゆっくりの死臭はまだ届いていないようで、巨大ゆっくりはれいむを助けようと突進を開始した。 「ゆゆ!いまわるいにんげんからたすけるよ!」 「ゆっくりまっててね!もうちょっとだよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 巨大ゆっくりが3匹で己の方へ突っ込んでくるのはそれなりに恐ろしい物である筈なのに、彼は全く関心が無いように引き金を引いた。 「ゆぶっぅ!」 「まりさっ!まりさのかたきはれいむがトビャッ!」 3発の銃弾を受けて先頭を進んでいた巨大まりさが粉砕され絶命する。 それを見た巨大れいむが気勢を上げるが、更に飛来した銃弾で全身を貫かれて速度をガクンと下げる。 しかし、最後尾を進んでいたため無傷の巨大まりさが2匹を追い越して突撃を継続する。 「もうばーんってできなくなったね!あきらめてゆっくりしんでね!」 勝ち誇った顔で勝利宣言をする巨大まりさ。 その時、正面から何かが闇の中から飛んできてまりさの顔に当たり、ぼよんと跳ねて地面に落ちた。 飛んできたのは捕まっていたゆっくりれいむだった。 「ゆっ!れいむをかえしてももうおそいよ!ゆっくり、し…ね…?」 「れいむをなげるなんてばかなおにいさん!まりさ!あんなやつゆっくりころしてね!」 れいむの口から覗く黒い物体とその匂いに気が付いた巨大まりさが表情を変えていく。 勝利宣言のニヤけた笑顔から憤怒の表情へと。 「ゆっくりしねえぇ!」 「まりさ!にんげんはこっちじゃないよ!ゆっくりきづいてね!」 れいむの体から漂う甘い死臭で同属殺しと判定した巨大まりさがれいむを潰しに掛かる。 当然、黙って見ているれいむではなく必死で逃げだした。 彼は巨大ゆっくりと通常ゆっくりが追いかけあってる間に小銃を再装填し、再び構える。 銃声が3つ響き、無傷だった巨大まりさが物を言わぬ餡と皮の複合体へと変えられた。 「おにいさん!れいむをたすけてくれてありがとう!」 そのお兄さんが自分に何をやったかもう忘れたゆっくりれいむは4発目の銃声を最後に動かなくなった。 最後の1発で巨大れいむの息の根が止められ、彼の前を阻むゆっくりはいなくなった。 彼は立ち上がって静まり返った巨大赤ちゃんゆっくりの寝室へと入って行きこう言った。 「君たちには悪いけど君たちの親が悪いから死んで貰います。ゆっくり親を恨んでね!」 大小混合編成の赤ちゃんゆっくり達は入ってくるなりそう宣言した人間の言うことが分からず、頭に?を浮かべたような表情をしていたが、人間に一番近かったゆっくりが刺し殺された時点で狂乱の渦に落ちた。 「いやた゛あああぁぁあ!」 「まりし゛ゃは゛こ゛ろし゛ゃないち゛ぇ!やめち゛ぇ!」 「ゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ー」 それから3分後。 かつて赤ちゃんゆっくりが最も安心できるゆっくりプレイスだった筈の寝室は、赤ちゃんゆっくりの死骸が転がる餡子の池地獄と化していた。 入ってきた人間がまた1匹、ゆっくりを捕まえて刺し殺す。 その周りには鋭利な刃物で殺傷された赤ちゃんゆっくりや踏み潰された赤ちゃんゆっくりが3ダース近く転がっていた。 一部のゆっくりは息があるのか「ゅ…ゅ…」と呻いていたが、どう見ても助かりそうには無かった。 生きている赤ちゃんゆっくり、その数およそ120匹は部屋の隅に固まって泣き、怯えながら震えていた。 更には自分こそ奥へ行こうと他の赤ちゃんを押しのけ、自分より小さい赤ちゃんを踏み潰しているゆっくりまでいる。 人間がそちらへ近づいていくたびに、殆どの赤ちゃんゆっくりが意味の無い単語を叫びながら逃げて行き、運の悪い赤ちゃんゆっくりが公開処刑されていた。 これだけの数が居れば人間に勝てそうなものだが、彼に向かっていくゆっくりは一匹も居らず、ただ逃げ惑うばかり。 そのような勇気ある赤ちゃんゆっくりは真っ先に死骸となっていた。 さらに2分経過して赤ちゃんゆっくりの数が3桁を切ろうかという頃、赤ちゃん達の耳に待ち望んでいた声が聞こえてきた。 頼もしい群れのリーダーと、彼女が引き連れる巨大ゆっくりの声だ。 急に強気になった赤ちゃん達は偶然にも彼女達の親の1匹が取った行動を再現した。 勝利宣言である。 「ゆゆ!おにいさん!りーだーにつかまってころしゃれてね!」 「りーだーはつよいんだよ!おにいしゃんなんかかちぇないね(わらい)!」 「あきらめてあやまっっちぇね!」 しかし、彼は赤ちゃんゆっくりの言葉に聞く耳持たずといった様子で寝室から出て行った。 「にげちゃうんだ!あかちゃんあいちぇににげちゃうんだ(わらい)!」 「しゅごしゅごにげてね!まけいぬ!」 「おうちでゆっくりないちぇいっちぇね!」 「りーだーからはにげられにゃいよ!ゆっくりつかまっちぇね!」 寝室から出た彼は荷物から最後のセムテックスを取り出し、信管を幾つか差し込んでデトコードを素早く伸ばしていく。 彼が角の向こうに姿を消すのと、彼を始末に来た巨大ゆっくり一行の先頭集団が寝室入り口に差し掛かったのはほぼ同時だった。 その瞬間、セムテックスが起爆してあまり頑丈ではない通路に強烈なダメージを与えた。 自身の重量とその上の土を支えきれなくなった通路が急速に崩壊し、寝室で惨殺されている赤ちゃんゆっくりを見てショックを受けていた巨大ゆっくりが押しつぶされた。 彼は通路が塞がれたのを確認した後、悠々と外へ出て行った。 土砂の向こうから僅かに漏れてくる、ゆっくりがこんな事をした人間のおうちは必ず破壊すると宣言しているのを聞いてから。 仲間の巨大ゆっくりに殺されかけたものの九死に一生を得たリーダーまりさは目の前の光景を呆然として眺めていた。 切り札の精鋭巨大ゆっくり部隊があの人間を殺そうと加速したとき、爆発が起こって天井が崩れ、彼女の切り札が生き埋めになってしまったのを。 「な、なんでぇ…れいむ!まりさ!」ぱちゅりー!おきてよ!ねえへんじをしてよ!」 「まりさ…もうしんじゃってるよ…ゆっくりさせてあげなきゃ…」 「そんなこといわないでよ!れいむもまりさもぱちゅりーもいきてるよ!へんなこといわないで!」 切り札にして親友のゆっくりを一挙に3匹も失ったまりさは暫くの間、錯乱しながら叫んでいたが徐々にその顔が赤く染まってきた。 まりさにとって己の命と同じぐらい大切だった仲間を無残に殺戮した人間に憎悪を抱いたのだ。 「ゆるさない…まりさのしんゆうをころしたにんげんはぜったいにゆるさない!ゆっく゛りさ゛せ゛す゛にこ゛ろし゛てやる!!にんけ゛んのおうち゛をにと゛と゛ゆっく゛りて゛き゛ないようにし゛て゛やる!!」 復讐に燃えるまりさは崩落箇所を修復した翌日の朝、発言を実行に移すこととなる。 「連中の侵攻予想時刻は明日午前9:00と思われます。」 日が落ちたために電灯で照らされた広い部屋。 その入り口から反対側に設置された黒板の前で一人の男が何か図らしき物を描きながらそう発言した。 セムテックスで巨大ゆっくりを生き埋めにしてきた彼だ。 「この時刻想定は連中が洞窟の復旧にかかる時間、巨体で森林を通過する時間を入れて計算してありますから、まずまずの正確さと思われます。」 「それで、どうやって対応するつもりなんだ?流石に陣地防御だけでは難しいだろ。最低200匹の想定なんだろ?」 彼が黒板の『廃鉱山』と書かれた箇所に『08:00』、『主防御線』と書かれた所に『09:00』と記入しながら発言したとき、1人の男が疑問をはさんだ。 「そうですね。確かに陣地だけじゃ厳しいです。なので、連中が巣から出てきた時点で砲撃を開始します。」 「砲撃?加工所の連中か?」「またあいつ等に頼るのか?良い連中ではあるんだがな。」 「廃鉱山入り口を見渡せる場所に夜明けと同時に観測班が移動する予定です。使用装備は毎度おなじみ155ミリ榴弾砲3門を予定しています。」 彼は質問者に答えつつ、黒板の『主防御線』より下に長方形を書き、その中に塗りつぶされた小さい丸を書く。 「連中がこちらに接触するまでに砲撃を継続し、100は削るつもりです。」 「あの巨体だろ?効果が通常のゆっくりよりも落ちるというのは?」 「勿論想定しています。加工所研究開発部に増援を要請した所、彼らは快く応じてくれました。」 そう言いながら、『主防御線』の所に長方形と横に潰れた楕円を組み合わせた記号を書き込み、その上に縦棒を1つ加えた。 「彼らなら巨大ゆっくりの50や100何する物ぞ、必ず蹴散らしてくれます。」 「その記号は…!それなら大丈夫か、安心した。」「彼らならやってくれるだろうな。」 「ご理解頂き感謝します。それでは作戦会議を終了致します。すでに斥候ゆっくりとの小競り合いが起きていますので、各員、情報漏洩に注意してください。では、解散。」 会議に参加した男たちが一斉に腰を上げ、挨拶を交わしながら外へ出て行く。 男たちは愛する家族が待つ家へと帰るために扉の外の吹雪へと次々姿を消し、後に残ったのは彼と里長だけになった。 「それでは、私もこれで。向こうで加工所の皆様とうち合わせをしなければならないので。」 「ああ、武運を祈る。」 彼もそう言って外へ出て行き、最後に残った里長は冷えた体を温める為、茶でも飲もうかと立ち上がっていった。 まりさは勝利を確信していた。 昨日おうちを破壊してくれた愚かな人間は赤ちゃんゆっくりをかなりの数惨殺しており、それ自体は群れの存続に影響があるほどのダメージだったが、現有戦力──つまり成体ゆっくりの殺害数は2桁にすら届かないというレベルだったので、人里侵攻には何の影響もなかった。 あかちゃんをころしてもつよいゆっくりをころさないなんて、あのにんげんはほんとうにばかだね! 昨日その人間のせいで死に掛けたのだが、餡子脳はそのような自分に都合の悪いことは覚えておらず、昨日の人間はまりさの中で雑魚ということになっていた。 それに、おともだちのありすやみょんもたすけにきてくれたからぜったいまけないね! 友好関係にある巨大ありすや巨大みょんの群れから結構な数の巨大ゆっくりが増援に来ており、その事もまりさの自身を増大させていた。 自分たちの後方で爆発が発生するたびに、巨大ゆっくりが数匹に通常ゆっくり1ダースが脱落している事にまりさは気づいていなかった。 巨大ゆっくりが大量に動くとき発生する音と巻き上がる地吹雪のせいでまりさの視覚と聴覚が半ば麻痺していたから。 そんなまりさでも森の向こうが徐々に明るくなってくるのは分かった。森の出口だ。 「ゆっ!みんな!もうすぐにんげんのところだよ!ゆっくりじゅんびしてね!」 まりさは走行中の巨大ゆっくりの上から指示を出す。 それを聞いた仲間たちは巨大ゆっくりが前面に出るように加速し、通常サイズがその後ろに隠れるようにやや減速した。 まりさは今まで敵対してきた群れをいくつも滅ぼしたこの陣形に絶対の自信を持っていた。 だから、森を抜けた瞬間に人間たちの攻撃で足元の巨大ゆっくりごと吹き飛ばされ、高速で木の幹に叩き付けられても何が起こったかわからなかった。 リーダーまりさ自ら率いる最初のゆっくり集団は森を抜けると同時に待ち構えていた人間の一斉射撃によってリーダーを残し全滅した。 雪の色と餡子の色が絶妙なコントラストを作り出す。 「みんな!にんげんたちをころすよ!」 「ゆっくりできないようにしてやる!」 「あやまってもゆるさないよ!」 第2集団がすぐに現れ、最初の集団の成れの果てが見えないのだろうか同じような陣形で突撃していく。 その集団は最初の物より5メートルほど先に進めたが、そこが限界だった。 「ゆぶぶぶぶぶぶぶっ!」 「ゆ゛ーーーーーーっ゛!!」 「もうし゛ないか゛らゆるし゛へ゛っ!!」 重厚な音を立てて機関銃が弾を吐き出していく。 何発かに1発の割合で混ぜられた曳光弾の放つ光が巨大ゆっくりへと吸い込まれ、瞬時に穴だらけの巨大饅頭へと変化させた。 そればかりか、巨大ゆっくりの柔らかい体を反対側まで突き抜けた7.7ミリ弾はその後ろを進んでいた通常ゆっくりに命中し、そこでやっと運動を止めた。 その運動エネルギーを受け止めた通常ゆっくりは既にバラバラになっていた。 このような光景が防御陣地に三箇所据え付けられた機関銃によって現出させられていく頃、同時に他の光景も現れ始めた。 陣地中ほどで待機していた加工所研究開発部の戦車中隊が侵攻してくるゆっくりの増大を見て攻撃を始めたからだ。 「目標!前方の巨大ゆっくり!弾種榴弾!撃ぇーーーーっ!」 「ゆっく゛りし゛て゛て゛ね!こっち゛こないて゛ねへ゛っ!?」 「みんなはれいむがまもってあげるほ゛おぉっふ゛っ!!」 合計10門の戦車砲が咆哮をあげ、灰色に塗装された様々な形の鋼鉄が振動するたびに巨大ゆっくりが体を貫通されて悲鳴を上げ、その後ろの通常ゆっくりが榴弾の爆発により木っ端微塵にされていく。 「みんなはまりさのかわりにしんでほしいんだゼゴブッ!」 「ゆっくりしんでいっぺぺぺぺぺっ!」 仲間が次々と穴だらけのオブジェにされるのを見たゆっくり(特にまりさ種)がその場から逃げ出す。 だが、機関銃の弾は勇敢なゆっくり臆病なゆっくり誠実なゆっくり卑怯なゆっくり大きいゆっくり小さいゆっくりを区別せず平等に死を与えていく。 「おか゛ーち゛ゃーん!た゛す゛け゛へ゛っ!!」 「まりさ゛をこ゛ろし゛て゛もいいか゛らみんなをた゛す゛け゛く゛っこ゛ーーっ!!」 「ころさ゛ないて゛えヘ゛フ゛ヘ゛ーーーッ!!」 幻想郷においては美しさの点でおそらく最底辺に位置する弾幕が展開されるたびにゆっくりの命が刈られ、白化粧の風景が飛び散る餡子に汚されていった。 5個集団100匹のゆっくりの突撃を粉砕した陣地に僅かな静寂が訪れた。 5個目のゆっくり集団が突撃を中止、仲間の死骸や仲間だった物の一部を引きずり、口に入れて回収し始めた事に陣地の人間が気づいた段階で射撃は停止されていたからだ。 突撃と射撃の中止タイミングが少しずれていたために回収役のゆっくりが10匹以上回収される側になっていたが。 機関銃陣地の人間は加熱し磨耗した銃身を取り替える為に、大量に消費された機銃弾を補給する為に僅かな人間を残して後方へ必要な物資を取りに行ってしまった。 戦車隊は横付けされたリヤカーから砲弾を受け取っている為に全員配置についていたが、ハッチから砲弾を受け取っている為に直ちに戦闘可能と言う訳ではなかった。 全員、機関銃と戦車砲の前に無謀な突撃を繰り返して餡子の山を築くゆっくりに油断していた。 だから、陣地から最も突出していた九七式中戦車の車体前方で火花が散って甲高い衝撃音が発生したとき、それに乗車していた人間は気のせいだと無視した。 ゆっくりが戦車の装甲を打ち抜くなど無理だと思っていたから。 森から巨大ゆっくりが再び姿を見せたとき、戦闘可能なのは陣地中央の1輌のみだった。 「ちいさいゆっくりはいしをどんどんあつめてね!」 「おっけー!ありすにまかせて!」 「おおきいゆっくりはもらったいしをどんどんはきだしてね!」 「ばかなにんげんはおどろくだろうね!」 「たのしみだね!」 木の根元で潰れていたところを救出されたリーダーまりさが生き残りに指示を出す。 巨大ゆっくりの肺活量をいかして砲台にしようとしているのだ。 ぽんっ、という二重の意味で気の抜ける音が森に反響し、陣地へ数十個のこぶし大の石が飛来する。 殆どの石は一番目立つ戦車へ向かって発射され、甲高い音を立てて戦車の装甲に弾かれたが幾つかの石は効果を発揮した。 『こちら第1機銃座!石で機関銃がゆがんだ!射撃不能!』 『7号車から1号車。今の投石で履帯が切れたようだ。自走不能。指示を請う。』 どのみち弾薬切れで射撃できない機銃要員が指示を受けて下がっていき、唯一戦闘可能な四式中戦車がエンジン音を上げて陣地の前方に出る。 「ばかなにんげんだね!それだけでかてるわけないじゃん!」 「はやくあやまってね!くるしまずにころしてあげるよ!」 「あやまってね!」「あやまってね!」 「ゆーっゆっゆっゆっ!」 勝ち誇るゆっくりが戦車に対して罵声を浴びせる。 満面のいやらしい笑みをうかべた巨大まりさだったが、返事は彼女の期待に沿った物ではなかった。 巨大まりさにオレンジ色に光る物体が突入した瞬間、彼女はくぐもった悲鳴をあげながら巨大な虐待お兄さんに蹴り飛ばされたかのように中央がへこみ、瞬きする間もなく後頭部が膨らみ炸裂した。 一式破甲榴弾が巨大まりさ自慢の分厚い皮をちり紙のように貫通し、そのまま後ろへ抜けて行ったのだ。 五式七糎半戦車砲から放たれた砲弾はこのような光景を5回再現し、6匹目の通常ゆっくりに突入してからやっと炸裂した。 リーダーまりさの小間使いをやっていたゆっくりれいむが破裂する。 後方で他のゆっくりに指示を出していたリーダーまりさに加熱された餡子の酸化物が降り注いだ。 「よ゛っ゛、よ゛く゛ほ゛れ゛い゛ふ゛を゛!!」 滝のような涙を流し、リーダーまりさは人間へと突撃。 何事かと振り向いた巨大みょんの横をすり抜け、石を集積中だった赤ちゃんれいむを飛び越して駆けた。 最も先頭にいる巨大ゆっくりを追い抜いたとき、目の前の惨状に気がついた。 まりさの目の前にあるのは餡子と皮の山。森の出口正面の為にここで無残に撃ち殺されるゆっくりが多かったことを物語っている。 苦痛の表情をした顔の皮とまりさは目を合わせてしまった。 背中に何か冷たい物を感じるまりさ。 まりさの右にはたくさんの瀕死ゆっくり。「い゛た゛い゛よ゛お゛ぉ゛。」「ゆ゛っく゛り゛し゛た゛い゛よ゛」「ま゛り゛さ゛。た゛す゛け゛て゛よ゛は゛り゛さ゛」ゆっくりのうめき声がたくさん流れてくる。 元気なゆっくりが葉っぱを貼り付けてあげ、言葉をかけるなど治療行為を行っているが餡子の流出が止まらず、どう見ても助かりそうに無かった。 まりさの左には形が残っているゆっくりの死骸が集積されていた。 話しかければ今にも起き上がるんじゃないかという安らかな顔で目を閉じたゆっくりれいむが運ばれてきて、死骸の山に加えられた。 まりさは再び正面に顔を向けた。 餡子と皮の山の向こうには灰色の塊が鎮座している。人間の乗り物だ。 後部から煙を噴き出し、その塊がが次々とまりさの方へ向かってくる。 あれが、あれがまりさのともだちを!あれがまりさのかぞくを!あれがまりさのなかまをころしたんだ! 怒りの視線を射殺さんばかりに灰色の塊へと向けるまりさ。 ふっと、何かを決意して口を開く。 「ひ゛んは゛!ひ゛んけ゛んはゆっくりし゛て゛るみた゛いた゛よ!いは゛のうち゛にこ゛ろせ゛えええぇぇ!!」 20を切るまでに減った砲台ゆっくりがリーダーの命令を受けて口を開けた。 次に石を頭に載せた通常ゆっくりが近づき、砲台ゆっくりがそれを受け取る。 本来ならば砲台ゆっくり1に対し、石運びゆっくりは3を確保して迅速な射撃を実現していたはずだったが、急速な石運びゆっくりの消耗により射撃間隔がひどく開いてしまっていた。 でも、これまでだよ。にんげんののりものがすごくてもこんなにたくさんのいしをふせげるわけないよね。 砲台ゆっくりが一斉に空気を吸い込むと言う頼もしい光景にまりさは勇気付けられた。 今までにその自信が何回打ち砕かれたかはもう忘れて。 「みんな!いくよ!ゆっくり~!」 「装填よし!」 「目標!砲撃ゆっくり!弾種徹甲!」 「うってね!」 「テェッ!」 砲台ゆっくりと戦車隊の射撃はほぼ同時だった。 しかし、ゆっくりが放った石は放物線を描き、それに対して砲弾はほぼ一直線に突き進んでいく。 どちらが先に効果を発揮するかは明らかだった。 ゆっくり達にとって幸いだったのは、石が効果を発揮したかどうか判別する前に死んだ事だった。 「は゛ぁ…は゛ぁ…な゛ん゛て゛ぇ!?な゛ん゛て゛ぇっっ!????」 リーダーまりさは僅かな手勢を引き連れて廃鉱山へと泣きながら逃げ帰っていた。 切り札を人間に悉くつぶされた挙句、新しく開発した「投石」作戦すら無効だったから。 強靭な悪い巨大ゆっくりの皮膚すら貫通する「投石」を防がれたのはショックだった。 あの時、自分達の放った石よりも先に人間達の攻撃が到達して砲台ゆっくりを粉砕、餡子と白雪の混合物が舞い上がったが、それでもまりさは口をゆがめて笑うのを止めなかった。 試しうちした時に見た、放物線を描く石が悪いゆっくりの上から降り注いで、餡子の飛沫を上げながらゆっくりが絶命した光景。 それが今度は人間相手に起きるだろうと確信していた為だ。 しかし現実は厳しかった。 威力を期待された石は戦車の一番薄い上面装甲すら貫徹できず、火花を上げて跳ね返された。 必殺の攻撃すら防がれたゆっくりの群れはその光景を目にした時点で壊乱。 残り少ない巨大ゆっくりが人間の前に立ちふさがり、通常ゆっくりがまりさを援護しながら脱出を開始した。 巨大ゆっくりの断末魔を聞きながら全速力で「おうち」を目指しているのが今の状況、というわけだ。 まりさが後ろで何かはじけるような音がしたのに気づくと同時に、横を走っていたゆっくりみょんが顔をはじけさせながら前につんのめる。 「ま…さ…ゆ…くり…にげ…て…ね…」 まりさはみょんを見ない。見ると追いつかれて殺されると知っていたから。 再び後方で音が発生。ついでまりさのまわりを高速で何かが飛びぬけていった。 高速で飛ぶ何かが木に当たり、木片を高速で周囲に撒き散らす。 ゆっくりちぇんが木製の散弾を食らって倒れた。 ありすの群れから来てくれたゆっくりありすが高速で飛ぶ何かに全身を貫かれて吹き飛ぶ。 それでもまりさは前を見続け、前進し続けた。 まりさを救うために散ったゆっくりの命を無駄にしない為に。 そうするうちに追撃がやんだが、それに気づかずリーダーまりさは森を駆け抜けていった。 「撃ち方やめ!撃ち方やめ!」 逃走した指導者まりさとその取り巻きを追撃していた加工所職員達に停止命令が伝わる。 停止させた理由が分からず疑問に思ったが、彼らはそれを態度に表さずに帰っていった。 それが彼ら加工所研究開発部実験隊の仕事だから。 ごめんね。ぜんぜん「雪中」じゃないね。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2589.html
ゆっくり虐待スレ80の 782 784 で指定されたシチュエーションを787 789で指定されたゆっくりを書きました しっと団であふれるクリスマスの町 泡展望の惨太苦蝋子 ケーキとして材料にされていくゆっくり かなこんとけろちゃんとさなえ 慌てん坊のゆっくりサンタともりゃじんじゃ 幻想卿にも冬が訪れようとしていた 秋の神が季節のバトンを冬を告げる妖怪に托し、既にチラホラと雪が降り始めている 野生の動物たちも冬籠もりの準備を始め、それはゆっくりも同様だった 「ゆっくりとうみんしようね!」 「おちびちゃんたちはこっちにきてね」 一組のまりさとれいむの番 この二匹は木の根の下に穴を掘り自分たちの巣を作っていた 丁度成体のゆっくりが4匹ほど入れるほどの大きさであり、4匹の子ども達を入れても十分な大きさである れいむが巣の入口を塞ぎこの一家の冬籠もりが始まった れいむが巣を塞いだあと、森に異変が起きた 冬籠もりを始めたゆっくりの巣を掘り返す一団が現れた 彼らはしっと団 一人寂しくクリスマスを過ごしているこの世全てのカップルを撲滅するというスローガンを掲げて暴れている集団だ 人間の里で暴れているところを上白沢慧音に見つかったためこの森にやってきた 「ゆっくりごときが彼女を冬籠もりなんざ俺達がゆるさねえぜえええ!!」 「やめてね!まりさたちのごはんをもってかないでね!」 「うるせえ!てめえみたいな饅頭はこうだ!」 男はくらいつくゆっくりまりさを掴むと口から舌を引っ張り出しからしを塗りたくった 「がらい”い”い”い”!」 「おきゃーしゃんをいじめにゃいでね!」 子まりさが奥から母を心配してやってきた それをみたしっと団はさらに激昂し 「ヒャッハア!ならおまえが助けてやりな!」 子まりさを掴むと子まりさをまるでたわしのように使って親まりさの舌を吹き出した 「いぢゃいよお”お”お”お”!!ぎゃらいよお”お”お”!」 「お”ひ”び”ぢゃ”ん”ん”ん”!!」 結局この親子は冬籠もり用の餌を奪われ巣もメチャメチャに破壊されてしまった もはや冬を生きて越すことは不可能だろう 他のゆっくり達も時間に差はあれど皆一様に巣に篭もり冬籠もりを始めていた しかし、越冬用の食糧が十分でないゆっくりも存在する そのようなゆっくりはラストスパートとばかりに寒空の中食べられるものを必死で探している 運良く見つかるものもいれば運悪く見つからないものもいる そんな中、一匹のれいむが餌を口の頬張りながらポヨンポヨンと一生懸命走っていた 「いそいでおうちにかえるよ!」 れいむは運良く食べられる草と木の実を見つけることが出来た そうして最後の食糧を巣で待っているまりさと3匹の子どもの元へと急いでいる この番はまりさが母親でれいむが父親である 母親役をすることが多いれいむであったが自慢の狩りの腕で父親役をこなしていた そして丁度れいむが自分の巣の近くまで来たときだった 「きゅうにくらくなったよ?」 まだ昼なのであるがれいむの視界に影が落ちる 冬とはいえ明るかったのだがちょうど自分がいる場所に四角い影が出来ている 「めりーゆっくりすます!」 「うーゆっくりすます!」 「れ、れみりゃとふらん!!?」 声に驚いてれいむが上を見上げるとそこには大きなうーぱっくに乗ったれみりゃとふらん 二人が乗ってもうーぱっくにはまだまだ余剰スペースがあり、そこには大きな白い袋が置かれていた その袋は中に入っているものが暴れているようでがさごそと袋を突き破ろうとしている 「うーしずかにするんだどぉー♪」 れみりゃが五月蠅い袋を右手でポカン、と叩くと袋は静かになった れいむはれみりゃの姿に驚いていた 普段来ている婆臭いおべべではなく、袖口に白いフリフリを付けた赤い服を着ている それはふらんも同じでその上二人とも普段いつもつけている帽子の上に丁度今着ている服とマッチする赤い帽子を被っていた そしてその帽子にはきらりと輝くゴールドバッジ 「うーぷれぜんとをみつけたよ♪」 驚いて固まってしまったれいむをつまみ上げてふらんは袋に押し込んでいく 「やめてね、れいむにはまりさとおちびちゃんがいるんだよ!」 「うー♪」 れいむを袋に押し込むと二匹はうーぱっくに指示を出して飛び去っていった 残された家族はれいむを待ち続けたがいっこうにれいむが戻ってこないため 自分たちだけで冬籠もりを始めてしまった 人間の里、そこでも雪が降りしきる中それぞれの冬を過ごしている 炬燵で暖まるもの、商売をするもの、寺子屋に行くもの。 その中である店が一風変わったサービスを開始していた それはゆっくりによるクリスマスケーキの配達である 意外なことに好評を博し予約完売という状況だ ケーキも一般的な生クリームを使用しいちごをのせたものからチョコクリームを使用したものまで多種多様に存在する それをサンタクロースに扮したゆっくりが配達するためゆっくり好きから莫大な支持を得ることに成功した そして先ほどれいむを捕獲したれみりゃとふらんがその店へと降り立つ 「お、帰ってきたか」 「たくさんとっきたどぉ〜♪」 「うー♪いっぱい♪」 二匹はこの店で飼われているゆっくりだ 捕食種でありながら幼い頃から育てられたためにとても店主である青年に懐いていた 青年は袋を受け取ると中を確認する 「はやくまりさをいえにかえすんだぜ!」 「むぎゅ!ふゆがこえられないわ!」 袋を開けると中から叫び声が上がる 袋の中には沢山のゆっくりが詰まっていた 番のまりさとぱちゅりーや先ほどのれいむと二匹が捕まえてきた野生のゆっくりだ 「わからないよーここはどこー?」 「おうちにかえすちーんぽ」 袋がパンパンになるほどギュウギュウに押し込まれたゆっくりが口々に文句を言うも 青年は中を確認すると袋の先を閉じギュッと結んでしまった こうなってはゆっくりが脱出する術はない 男は袋を別室に運ぶとれみりゃとふらんに甘いお菓子を与えた 「よくやってくれたな、これだけあれば十分だ」 「う〜♪おぜうさまにはぞうさもないんだどぉ〜♪」 「うー♪」 お菓子を食べながら喜びに浸っていた この青年はこの二匹をよく躾けていた 褒めるときは褒め、叱るときは叱る 二匹は客の前に出ても失礼なことをしないまでになり、ついにはゴールドバッジを取得することも出来た そして配達を任せられるようにまでなったのだ 「よし、じゃ最後にこれを山の守矢神社まで配達してくれるか?」 「分かったどぉ〜♪」 「運ぶ〜!」 青年は小さな箱を二匹に預けた それを二匹はうーぱっくに乗り配達させる 「う〜♪」 ちょうどうーぱっくも配達の礼として余り物のケーキを食べていたところだ 「う〜さいごのはいたつにいくどぉ〜」 「うーぱっくもはやくじゅんび〜♪」 うーぱっくがケーキを食べ終えると二匹は再び空へと舞い上がった 配達を任された箱はケーキだと説明されていたので中のケーキが崩れないようにしっかりと押さえながら 冬空の下を飛ぶうーぱっく その中に乗っているれみりゃとふらんはサンタの服のおかげで寒さをあまり感じなかった 二匹はサンタ服をとても気に入っていた 「うーめりーゆっくりすます♪」 「う〜めりーゆっくりすますだどぉ〜♪」 二匹が守矢神社に向かった後青年は先ほどのゆっくりが詰まった白い袋を持ってとある場所へと向かっていた ゆっくりを二匹に捕まえさせていたのはこのためだ 二匹は青年へのプレゼントだと思っているが青年の思惑は別にあった 「こんにちは」 目的地に着くと青年は丁寧に挨拶をし、中へと入っていく そこで袋を顔見知りとなったここで働いている男へと差し出す 「これをお願いします」 「分かりました」 袋を差し出された男はそれを受け取ると袋を更に別室へと運んでいく 青年はその間、椅子に座って差し出されたお茶を出しながら目的が終わるのを待っている 青年が持ってきた袋は別室で開封された そこからわらわらと詰められていたゆっくり達が押し出てくる 元より袋の容量を多めに入っていたために雪崩のように崩れ出た 一匹のまりさがようやく袋から解放されゆっくり出来ると思っていると急に床が動き出した 「ゆ?」 同じく他のゆっくりも床が動き出したことに戸惑っていた 動く床に連れられ進んでいるとまりさの元に大きな手がやってきた その手はあろうことかまりさの帽子を掴み上げると別の場所に持ち去っていた 「やめてね!てさん、まりさのぼうしをかえしてね!」 帽子を失うとゆっくりは他のゆっくりから変なゆっくりと認識されてしまう そして帽子がないと言うだけで殺されてしまうこともある まりさは必死に手を追いかけるが床が動いてるため追いかけても進んだ分だけ着地した瞬間に戻されるというのを繰り返した それは他のゆっくりも同様だった れいむはリボンを、ありすはカチューシャを、パチュリーとちぇんは帽子を手に奪われていた 「むきゅぅぅ!!」 「ありすのかちゅーしゃをかえしなさい!」 「わからないよー!かえしてよー!」 ピョンピョン跳びはねるも非常にも床が動いているため全てのゆっくりが髪飾りを失ってしまった ゆっくり達が悲しんでいると突然ヒュンッと音がした すると一番前にいたまりさの頭が少し切られて上から中の餡子が見える状態となった 「ゆぎゃあああ!!ばでぃざのあだまがあああ!!」 それを皮切りに次々とヒュンッと音がするたびに頭が切られて中身が見える状態となった 「やべでええええ!!」 「ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉ」 「ゆええええん!!」 阿鼻叫喚がそこにあった ゆっくりが涙を流し動く床によって運ばれていき、終着点へと着いた そこには白い服を着た人間が大勢いた 人間達はてきぱきと運ばれてきたゆっくりを仕分けしていた 稀に髪飾りを付けたままのゆっくりを見つけるとそれを手で取り外し頭をカットし仕分けしていく 今し方運ばれてきたゆっくり達も同じ様種別事に分けられ別の場所へと運ばれる ぱちゅりーとちぇんは同じ場所に運ばれてきた ぱちゅりー種とちぇん種 この二匹は中身が生クリームとチョコクリームである またもや動く床の上に乗せられたゆっくり達 目の前にはまたもや手がある その手はゆっくりを掴むと器用に中身を絞り出し容器へと溜めていく あっと言う間に大量の生クリームとチョコクリームのできあがりだ そう、ここは加工場 青年はここでケーキに欠かせない生クリームを仕入れに来たのだ 勿論、他のゆっくりも洋菓子を作る以上欠かせない存在であり彼の店の商品へと変わる 髪飾りも加工されケーキのデコレーションに利用される しかし、青年はそこを知り合いになった職員に頼み込み、ゆっくりから取り去った髪飾りを全く別のリボンへと作り替えてもらっていた 「こんなもの何に使うんですか?」 「ウチの飼いゆっくりが欲しがるんですよ」 職員にそう話すと男は洋菓子の材料を受け取り加工場を後にする 袋にはリボンを詰めてもらって 守矢神社では東風屋早苗が境内の掃除をしていた 冬が訪れ木枯らしが吹くがそれでも巫女のつとめを果たしていた 時折訪れる参拝客に挨拶をしているとそこにゆっくりがやってきた 「「めりーゆっくりすます!」」 うーぱっくに乗ったサンタれみりゃとふらんがやってきた 二匹はクリスマスの挨拶を交わすと早苗へ配達の品を差し出した 「あら、クリスマスにはまだ1日早いですよ?」 「う、うー?」 「うふふ♪慌てん坊のサンタクロースですね♪」 早苗は幻想卿に来る前にいた現代の歌を思い出した 慌てん坊のサンタクロース、クリスマス前にやってきた ちょうど今がその様な感じである 「宛名が八坂様になってますね、ちょっと待っててね」 宛名を確認すると早苗は神奈子を呼びに行った 早苗に呼ばれて変わるように神奈子が二匹の前に現れた 「あら、意外と早いのね。明日でもよかったのに」 この品は神奈子の注文である 里で見かけた洋菓子屋に注文していたものだ クリスマスケーキを早苗が注文していたので手間になるだろうから一緒でいいと言ったのだが青年が気を利かして別々に配達されることとなった 「う〜ちゃんとはいたつしたんだぉ〜♪」 「うーはんこをおしてね!」 品物を渡すと二匹は神奈子に受け取り確認のハンコをお願いする 神奈子がハンコを押すと二匹は配達が完了したことに喜び 「うーちゃんととどけたよ♪」 「れみりゃたちはちゃんとはいたつしたどぉ♪」 とうーぱっくの上で小躍りをしそうになった 「う〜!」 それには流石にうーぱっくも抗議した いかに自分が大きいとは言え二匹に中で踊られてはたまったものではない 「ごめんだどぉうーぱっく…」 「うーごめん…」 思わず神奈子がクスッと笑っていると早苗が神社の中から戻ってきた その手には三匹分のオレンジジュースが用意されている 「配達ご苦労さま、こんなのしかありませんがどうぞ」 これには三匹も喜んだ オレンジジュースと言えば怪我をしたゆっくりを治すほどのものである 三匹はそれを飲み干すと早苗にお礼を言い帰って行った 「おねえさんありがとぉだどぉ♪」 「ありがとう♪」 「うーうー♪」 早苗はゆっくり愛好家の1人で神社の周りのゆっくりに時々を餌を与えているほどである 無論、野生のゆっくりの舌が肥えないように気をつけて 「あんたも物好きだね早苗」 神奈子は先ほどのような礼儀正しいゆっくりには理解を示すが、野生の意地汚いゆっくりには理解を示さなかった それも野生を生きるためには必要だが、人語を話すためにどうにも不快感が増してしまう しかし、早苗は殆ど気にしていないようであった 「ところで八坂様、何をお頼みしたんですか?」 早苗は神奈子の手にある小さな箱を覗き込んだ 「それは開けてのお楽しみ。諏訪子も呼んでみんなでね」 「はい♪」 神奈子が頼んだのはモンブランであった その後、三人は美味しいモンブランで舌鼓を打った そうして翌日のクリスマス 妖怪の山、守矢神社の近くの群でも冬籠もりが始まろうとしていた 「ゆっくりしていってくださいね!」 この群には珍しいことにゆっくりさなえが存在していた それだけでなく、ゆっくりかなこ、けろちゃんまでもがいる非常に珍しい群だ 群れのリーダーはドスまりさだ そのドスまりさをかなことけろちゃんがサポートする形となり、この群は非常にゆっくりとしていた 通称、もりゃじんじゃである 野生のゆっくりが何故この時期まで外で生きていられるのかというと、近くの現人神の奇跡のおかげであった この群も明日には冬籠もりを開始する ドスがいるおかげもあって備蓄も順調で安心して巣に篭もることが出来る状態だ 「「めりーゆっくりすます!」」 そこにサンタれみりゃとふらんがやってきた この二匹は守矢神社に配達に行っているうちにこの群のゆっくり達と仲良くなり今では歓迎されるほどに有効な関係を築くことが出来た 「「「ゆっくりしていってね!」」」 二匹の登場に群のゆっくりが挨拶をする 群のゆっくり達は冬籠もりの前に二匹に会えたことを喜んでいた 「さんたさんがぷれぜんとをもってきたどぉ〜♪」 「うーまずはおちびちゃんたちから♪」 二匹はうーぱっくの中にある袋からリボンを取り出し、子どものゆっくりから順番にプレゼントであるリボンを付けていく 「すてきなおりぼんさんだね!」 まりさは帽子にリボンを付けてもらい、れいむは自分のリボンにもらったリボンを付けてもらった 皆、色とりどりのリボンを付けてもらえて大喜びである 「つぎはおかあさんたちー♪」 次に成体ゆっくりにもリボンを付けていく 「ありすにもとってもにあうとかいはなりぼんね♪」 「ちぇんにもつけてねー」 「ぱちゅりーにもおねがいね!」 ありすもカチューシャと色合いを兼ねたリボンをプレゼントされ、またちぇんも緑の帽子に映えるリボンをプレゼントされた ぱちゅりーもまたリボンを付けてもらった。 「うーぱちゅりーはこれでべんきょうしてね!」 ふらんがいつも仲良くしているぱちゅりー一家に一冊の本をプレゼントした この本は飼い主である青年が読まなくなった本である 「むきゅ!そんなのわるいわ、ぱちぇもおりぼんさんだけでじゅうぶんよ!」 「ぱちゅりーはたくさんごほんをよんでみんなをたすけるんだどぉ〜♪」 「…わかったわ、それじゃあこのごほんはいただくわね♪」 れみりゃからの後押しもありぱちゅりーは本をもらった その本は青年が山で取れる木の実を利用した菓子が作れないかと読んでいた本であり幸運にも春になってぱちゅりーが内容を少しでも学べていれば役に立つ本であった 「かなことけろちゃんにもりぼんをつけるどぉ〜♪」 慣れた手つきでかなことをけろちゃんにもリボンを付けていく 「おんばしらー♪」 「あーうーゆっくりありがとう!」 しかもこのけろちゃん、畜生帽ではなく普通の帽子を被っている突然変異種であった そのためリボンを付けても帽子が逃げたりする問題がなかった 最後にれみりゃとふらんはドスまりさの髪にリボンを付けた ドスまりさのリボンは信頼の証であり、他のゆっくりも時々ドスまりさにプレゼントしている 「ゆっくりありがとう!みんなもおれいを言ってね!」 「「「「「ありがとう、れみりゃ、ふらん♪」」」」」 「どういたしましてだどぉ〜♪」 「うー♪」 上機嫌な二匹。そして二匹にうーぱっくも交えてゆっくりすますを祝った 「れいむたちがおれいにゆっくりおうたをうたうよ!」 「れいみゅたちのおうたをれみりゃとふりゃんもゆっきゅりきいちぇね!」 祝いの場ではれいむの親子が中央で歌を歌っていた 赤ゆっくりと子ゆっくりがそれぞれゆっくり特有の歌を歌う 「ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、ゆ〜、れみりゃとふりゃんは、しゃんたしゃん〜♪」 「ゆっくり〜ゆ〜ゆっくりゆ〜♪」 群でも屈指の歌声を誇るれいむ親子の歌にゆっくり達はうっとり、もといゆっくりしていた 「つぎはさなえたちがうたいますね!」 「あーうー!」 「おんばしらー!」 続いてはさなえ、けろちゃん、かなこ この三匹も歌が上手くれいむ親子と一緒に歌を歌う事が多い 「ゆっくりにこいをしてたころは〜♪」 「ゆゆゆ、ゆっくり〜できるとはおもってなかったよ〜♪」 「ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり〜♪」 こちらもとてもゆっくりした歌を歌った 「ドスたちはそろそろ冬ごもりをするね!れみりゃとふらんもゆっくりしてね!」 「ゆっくりしてくださいね!」 ドスまりさとさなえに見送られ三匹は飼い主の元へと帰る この群も冬ごもりを始め次にあえるのは春になるだろう 「ドスたちもゆっくりしてね!」 「はるになったらまたあそぶんだどぉ〜!」 プレゼントを配り終えた二匹は友達と別れ、とても幸せそうにして青年の元へと帰りました 終わり by お題の人 クリスマス仕様なので虐待成分を薄くしてます いや、決して思いつかなかったとか守矢家ゆっくりをケーキにしたくなかったとかそもそも中身何よとかじゃありませんよ?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/15.html
このページには、ゆっくりいじめ系501~750まで一覧となっています。 作品の後ろにある文字の説明はジャンルマークについてに纏めてあります。 500以前および751以降につきましては下記から。 ゆっくりいじめ.250 ゆっくりいじめ.500 ゆっくりいじめ.1000 ゆっくりいじめ.1250 ゆっくりいじめ.1500 ゆっくりいじめ.1750 ゆっくりいじめ.2000 ゆっくりいじめ.2250 ゆっくりいじめ.2500 ゆっくりいじめ.2750 ゆっくりいじめ.3000 ゆっくりいじめ系501 お兄さんの歪んだ愛_1虐無 ゆっくりいじめ系502 お兄さんの歪んだ愛_2制無 ゆっくりいじめ系503 ゆっくり家族と恐怖映像_1虐無 ゆっくりいじめ系504 ゆっくり家族と恐怖映像_2虐無 ゆっくりいじめ系505 公園でゆっくり虐家無 ゆっくりいじめ系506 ゆっくりと扇風機そ家無外 ゆっくりいじめ系507 原点回帰っぽい後編を目指したらわけ分かんなくなったそ捕無 ゆっくりいじめ系508 おれまりさの逆襲そ無 ゆっくりいじめ系509 紅い弾丸そ無 「ゆっくりいじめ系510 ゆふらんいじめは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系511 ゆっくり焼き土下座(後)_01制 ゆっくりいじめ系512 ゆっくり焼き土下座(後)_02制 ゆっくりいじめ系513 ゆさくや1そ性家共捕無 「ゆっくりいじめ系514 みんなのゆるフ3は作者の要請により削除されました。」 ゆっくりいじめ系515 強姦まりさの敗北制性無 ゆっくりいじめ系516 れいむのお味虐無 ゆっくりいじめ系518 盲目の子れいむ ゆっくりいじめ系519 ゆっくりBOMB制家機無 ゆっくりいじめ系520 ゆっくり移植虐 「ゆっくりいじめ系521 みんなのゆるフ4は作者の要請により削除されました。」 ゆっくりいじめ系522 ゆっくりめーりんの話虐無 ゆっくりいじめ系523 ゆっくりしすぎた逆転裁判_1 ゆっくりいじめ系524 ゆっくりしすぎた逆転裁判_2 ゆっくりいじめ系525 ゆさくや2_1そ ゆっくりいじめ系526 ゆさくや2_2虐 ゆっくりいじめ系527 ゆっくり腹話術(後) 作者により削除されました ゆっくりいじめ系529 ゆっくりみだら6 ゆっくりいじめ系530 ゆっくりぺにぺに制 ゆっくりいじめ系531 ハチノコ獲り式ゆっくりの捕まえ方 ゆっくりいじめ系532 乳むしり虐家無外 ゆっくりいじめ系533 【月とゆっくり】 「ゆっくりいじめ系534および535は作者さん要請により削りました。by管理人」 「ゆっくりいじめ系536 ゆっくりをやめたちぇんは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系537 男と女がゆっくりと ゆっくりいじめ系539 少女と饅頭が地下室で ゆっくりいじめ系540 ゆっくり水雷戦虐家道無 ゆっくりいじめ系541 醜い美れいむ虐 ゆっくりいじめ系542 赤ちゃんゆっくりの冒険-前-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系543 赤ちゃんゆっくりの冒険-後-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系544 【めーりんが気功を覚えました】緩制無 ゆっくりいじめ系545 挙の歳末_1制捕無 ゆっくりいじめ系546 挙の歳末_2制捕無 ゆっくりいじめ系547 挙の歳末_3制捕無 ゆっくりいじめ系548 【おおきなかぶ】そ家 ゆっくりいじめ系549 ゆっくりの飼い方 私の場合虐環無 ゆっくりいじめ系550 体付きゆっくりの冬虐家捕無 ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前制家無 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中制家無 ゆっくりいじめ系553 ゆっくりをからかうそ無 ゆっくりいじめ系554 -森の彼女とゆっくり知恵比べ-そ無 ゆっくりいじめ系555 こわいこわい逃走劇制無 ゆっくりいじめ系556 ゆっくりウェポンストーリー虐無 ゆっくりいじめ系557 ゆっくりがいる家庭虐家無 ゆっくりいじめ系558 【罠】制 ゆっくりいじめ系559 ゆさくや3虐制家 ゆっくりいじめ系560 定だったゆっくり虐そ家 ゆっくりいじめ系561 俺とゆっくり2(終編)虐制家捕無 ゆっくりいじめ系562 【押し問答】虐そ無 ゆっくりいじめ系563 シムゆっくりちゅーとりあるそ家 ゆっくりいじめ系564 俺とゆっくりの話 2そ無 ゆっくりいじめ系565 お兄さんの逆襲 前編虐無 ゆっくりいじめ系566 お兄さんの逆襲 後編虐無 ゆっくりいじめ系567 シムゆっくり仕様書そ 作者により削除されました ゆっくりいじめ系569 愛のある食卓虐そ無 ゆっくりいじめ系570 ゆっくりとりひき虐環無 ゆっくりいじめ系571 みんなで食べようそ料無 ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後虐家無 ゆっくりいじめ系573 ゆさくや3.5虐そ無 ゆっくりいじめ系574 午後の紅茶虐無 ゆっくりいじめ系575 ゆっくり大戦(YW)そ共機 ゆっくりいじめ系576 【さっぱりしていってね!!!】そ薬無 ゆっくりいじめ系577 ゆっくり推進委員会_1虐環無 ゆっくりいじめ系578 ゆっくり推進委員会_2虐環無 ゆっくりいじめ系579 俺とゆっくりの話 3そ共無 ゆっくりいじめ系580 ゆっくりとりひき2虐環無 ゆっくりいじめ系581 ゆっくり大戦(YW)2そ共機 ゆっくりいじめ系582 淡々とゆっくりを尾行してみたそ家環無 ゆっくりいじめ系583 なつ☆こみそ無 「ゆっくりいじめ系584 俺がゆっくりするは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系585 -森の彼女と逆襲のゆっくり-制無 ゆっくりいじめ系586 ドスぱちゅりー『感染拡大』虐環薬家 ゆっくりいじめ系587 波乗りまりさ(妊娠編)虐環性家無 ゆっくりいじめ系588 ゆっくりしないでね!制無 ゆっくりいじめ系589 淡々とゆっくりを尾行してみた 2虐環家無 ゆっくりいじめ系590 ゆっくり大戦(YW)3虐共機 ゆっくりいじめ系591 巨大(ry制 ゆっくりいじめ系592 文々。新聞 コラム虐薬道無 ゆっくりいじめ系593 ゆっくりにっく_2虐無 ゆっくりいじめ系594 リアルに吐くゆっくり虐無 ゆっくりいじめ系595 完璧なゆっくり≪準備編≫虐家共無 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち虐共無 ゆっくりいじめ系597 虐待おばば虐無 ゆっくりいじめ系598 ゆっくりのいる街_1虐共料無外 ゆっくりいじめ系599 ゆっくりのいる街_2虐共料無外 ゆっくりいじめ系600 ゆっくり大戦(YW)4虐共機 ゆっくりいじめ系601 ある新人ゆっくりーだーの話(前編)制無 ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3虐環家捕無 ゆっくりいじめ系603 ゆっくりそんぐ虐家無 ゆっくりいじめ系604 ゆっくりの一人カラオケそ無 ゆっくりいじめ系605 ゆっくりのいる街2虐家無外 ゆっくりいじめ系606 餡子とキリギリス虐家無 ゆっくりいじめ系607 ゆっくりみだら7虐性捕無 ゆっくりいじめ系608 ゆっくりしていってね!虐 ゆっくりいじめ系609 きらーうーぱっく虐家共無 ゆっくりいじめ系610 自由を求めて制環共 ゆっくりいじめ系611 どこで何が狂い出したのか…そ共 ゆっくりいじめ系612 ゆっくり詰め虐環家捕無 ゆっくりいじめ系613 虐待お兄さんVSゆっくりんピース虐無 ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後①制家捕無 ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後②制家捕無 ゆっくりいじめ系616 ゆゆほーる虐道無 ゆっくりいじめ系617 ゆっくりさらい虐家 ゆっくりいじめ系618 ゆっくり家族のある夏の日虐環家 ゆっくりいじめ系619 虐待場虐無 ゆっくりいじめ系620 ゆさくや4虐捕無 ゆっくりいじめ系621 ゆっくりと燕制機無 ゆっくりいじめ系622 ゆっくり訓練虐環家無 ゆっくりいじめ系623 きらーうーぱっく・2虐捕 ゆっくりいじめ系624 うーうー!ってやつかわいい虐家捕 ゆっくりいじめ系625 うーぱっく運送制 ゆっくりいじめ系626 ぶるぶる虐環家 ゆっくりいじめ系627 ゆっくりてんこ虐無 ゆっくりいじめ系628 鳩と餌と糞虐無 ゆっくりいじめ系629 ゆっくりTVショッピング虐無 ゆっくりいじめ系630 狭き門虐環家共無 ゆっくりいじめ系631 ゆっくりマウンテン制環共 ゆっくりいじめ系632 ゆっくりの木虐無 ゆっくりいじめ系633 家具ゆっくり虐道無 ゆっくりいじめ系634 ゆっくりのいる街3_1虐家料無 ゆっくりいじめ系635 ゆっくりのいる街3_2虐家料無 ゆっくりいじめ系636 俺とゆっくり2(完結編)虐環捕無 ゆっくりいじめ系637 木まりさで永久機関そ性無 ゆっくりいじめ系638 少年と木ゆっくり虐無 ゆっくりいじめ系639 ゆかりんのピーッくっせぇ~~!制性 ゆっくりいじめ系640 えれえれ制無 ゆっくりいじめ系641 ゆっくり葬式虐家無 ゆっくりいじめ系642 満員電車とゆっくり虐環無外 ゆっくりいじめ系643 ゆっくりのいる街4_1虐無 ゆっくりいじめ系644 ゆっくりのいる街4_2虐無 ゆっくりいじめ系645 消えたゆっくり虐家無 ゆっくりいじめ系646 普通に虐待虐家無 ゆっくりいじめ系647 ある新人ゆっくりーだーの話(後篇)制共無 ゆっくりいじめ系648 狂ったドスまりさ虐無 ゆっくりいじめ系649 ギャルゲーでゆっくり虐そ無 ゆっくりいじめ系650 虐待おばば2虐無 ゆっくりいじめ系651 ユルジンと魔法のランプ虐家性共 ゆっくりいじめ系652 飛蝗虐環 ゆっくりいじめ系653 ゴッドかなこ虐共 ゆっくりいじめ系654 普通に虐待2~以下無限ループ~虐環家共無 ゆっくりいじめ系655 働き者虐 ゆっくりいじめ系656 -森の彼女と孤独のグルメ-虐料 ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編制性無外 ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編虐無外 ゆっくりいじめ系659 ゆっくり大学虐待学部虐性無外 ゆっくりいじめ系660 ゆっくりのいる街5虐無 ゆっくりいじめ系661 ずんぼー虐性 ゆっくりいじめ系662 大岡裁き制家無 ゆっくりいじめ系663 ルチャゆっくり虐無 ゆっくりいじめ系664 ゆっくりふれんどぱーく虐機無外 ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究虐家無外 ゆっくりいじめ系666 ゆっくり推進委員会2虐環家無 ゆっくりいじめ系667 髪飾りの影響 前虐無 作者さんの要望により削除しました。 ゆっくりいじめ系670 ゆっくり魔理沙の生涯『子育て編』虐捕 「ゆっくりいじめ系671 ……で?は作者の要請により削除されました。」 ゆっくりいじめ系672 Eゆっくり制家無 ゆっくりいじめ系673 街虐環無 ゆっくりいじめ系674 二つの計画制無 ゆっくりいじめ系675 一人きりの子育て虐性家 ゆっくりいじめ系676 ゆっくりのいる街6_1虐無 ゆっくりいじめ系677 ゆっくりのいる街6_2虐無 ゆっくりいじめ系678 ゆっくりべんじょ虐無 ゆっくりいじめ系679 オーディオお兄さん虐無 ゆっくりいじめ系680 ゆっくり刷り込みしてね!!!虐共無 ゆっくりいじめ系681 ただ永遠にこれだけを…虐無 ゆっくりいじめ系682 まりさは本当に強いのか虐無 ゆっくりいじめ系683 ゆっくり鉄骨渡り虐環家捕無 ゆっくりいじめ系684 鬼意裁き虐無 ゆっくりいじめ系685 ゆっくりのいる街7虐家無 ゆっくりいじめ系686 童謡虐家無 「ゆっくりいじめ系687 不感症ゆっくりは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系688 「ゆっくりしてるよ!!」虐環 ゆっくりいじめ系689 三回擦ってすぐ絶頂~驚異の三擦り半~虐性 ゆっくりいじめ系690 ゆっくりとカビ虐性家無 ゆっくりいじめ系691 普通に虐待2~以下無限ループ~加筆分虐環 ゆっくりいじめ系692 嗚呼、人違いそ ゆっくりいじめ系693 ドスまりさとゆうか虐無 ゆっくりいじめ系694 餡餡。新聞制無 ゆっくりいじめ系695 21世紀的ゆっくり生活虐家無 ゆっくりいじめ系696 SSC制環機無 ゆっくりいじめ系697 野生のゆっくり虐家無外 ゆっくりいじめ系698 ゆっくり大戦(YW)5虐機道 ゆっくりいじめ系699 ある研究者の日記虐環機無 ゆっくりいじめ系700 ゆっくり姫第一章そ無 ゆっくりいじめ系701 チルノvsちるの虐 ゆっくりいじめ系702 ゆっくり新聞制無 ゆっくりいじめ系703 ゆっくり掛川宿場虐無 ゆっくりいじめ系704 子ゆっくり制家無 ゆっくりいじめ系705 ある復讐の結末(前)虐性捕 ゆっくりいじめ系706 ある復讐の結末(中)そ捕無 ゆっくりいじめ系707 短編集虐家無 ゆっくりいじめ系708 醜い物(中)(ドスまりさとゆうか2)そ無 ゆっくりいじめ系709 餌やり制家無 「ゆっくりいじめ系710 Soul Strangerは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系711 ある植物型奇形妊娠の話虐環家 ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語虐家無 ゆっくりいじめ系713 頷き男とゆっくりまりさの自慢制無 ゆっくりいじめ系714 復讐のゆっくりまりさ(前)そ無 ゆっくりいじめ系715 不可侵条約虐無 ゆっくりいじめ系716 ストリートミュージシャン虐家無 ゆっくりいじめ系717 とりもち虐無 ゆっくりいじめ系718 ドスまりさのお願い(前)虐制家無 ゆっくりいじめ系719 ドスまりさのお願い(後)そ無 ゆっくりいじめ系720 豚小屋とぷっでぃーん虐無 ゆっくりいじめ系721 ある復讐の結末(後-1)そ捕無 ゆっくりいじめ系722 復讐のゆっくりまりさ(中)虐共無 ゆっくりいじめ系723 ゆっくり査定虐無 ゆっくりいじめ系724 ゆっくり整形虐無 ゆっくりいじめ系725 いなばの白ゆっくり制 ゆっくりいじめ系726 ある飼いゆっくりの悲劇虐捕無 ゆっくりいじめ系727 復讐のゆっくりまりさ(後)虐共無 ゆっくりいじめ系728 ゆっくり対策制無 ゆっくりいじめ系729 灰色の檻の中で虐環家無 ゆっくりいじめ系730 すぃー虐家機無 ゆっくりいじめ系731 ある復讐の結末(後-2)制捕無 ゆっくりいじめ系732 ゆっくり大サーカス虐環薬無 ゆっくりいじめ系733 thinker虐そ環無 ゆっくりいじめ系734 アリスが滑った話虐機無外 作者により削除されました ゆっくりいじめ系736 武器を手にしたゆっくり制 ゆっくりいじめ系737 からっぽのいえ制無 ゆっくりいじめ系738 永夜緩居[ゆっくり]虐環捕 ゆっくりいじめ系739 ある復讐の結末(後-3)制捕無 ゆっくりいじめ系740 ゆっくり改造論1虐捕無 ゆっくりいじめ系741 家庭餡園そ機無 ゆっくりいじめ系742 髪飾りの影響 後 「れいむ」(リボンまりさ)虐環家無 ゆっくりいじめ系743 楽園そ環無 ゆっくりいじめ系744 風船Ⅰそ家無 ゆっくりいじめ系745 ゆっくりれいむの悪夢虐環機無 「ゆっくりいじめ系746 不感症ゆっくり2は作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系747 ゆっくり推進委員会3虐環捕無 ゆっくりいじめ系748 ある動物型奇形妊娠の話虐環 ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり虐家無 ゆっくりいじめ系750 人のふんどし虐環
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/716.html
対戦型ゆっくりゲーム by 十京院 典明 対戦型ゆっくりゲームというのを買ってきた。最近流行っているらしい。 「おーい、れいむー」 俺は家飼いのれいむを部屋に呼びつけ、PCを起動する。 やがてぺたんぺたんと階段を上る音がして、れいむが俺の部屋のドアを開ける。 「ゆゆっおにーさんゆっくりしていってね!」 「あーはいはいゆっくりゆっくり。ゲーム買ってきたんだが、やるだろ?」 「げーむさん!れいむげーむさんするよ!」 このれいむには時々ゲームの相手をさせているので、ゲームパッドぐらいなら操ることができる。 ピコリーン \ゆっくりしていってね/ 「ゆゆ!ぱそこんさんのなかにもれいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」 * * * * 俺はキャラセレ画面で固まった。 「……」 画面には10匹のゆっくりが馬鹿面を晒している。それはいいのだが、 左上から、れいむ、れいむ、れいむ、まりさ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、れみりゃ(胴なし)、れみりゃ(胴あり)。 「おにーさんどうしたの?」 「……れいむ三匹とまりさ二匹の見分けが付かないんだけど」 「ゆゆ!こんなのもわからないなんておにーさんはばかだね! れいむとれいむとれいむとまりさとまりさだよ!」 「仕方ない、マニュアルでも見るか」 俺はマニュアルを広げた。 = = = = マニュアル お買い上げいただきありがとうございます。 本ゲームは、従来の対戦型格闘ゲームとはびみょんに異なったシステムを採用した新感覚ゆっくりゲームです。 勝利条件は自キャラのゆっくりゲージを100%まで溜めることか相手のゆっくりゲージを-100%まで下げることです。 基本動作 A=隙の少ない、ゆっくりする行動をします。 B=隙の少ない、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 C=効果の大きい、ゆっくりする行動をします。 D=効果の大きい、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 ←←=バックステップです。後ろにゆっくり跳ねます。 →→=ダッシュです。前にゆっくり急ぎます。 (コマンド)=さまざまな効果を持つゆっくりむーぶを発動します。いわゆる必殺技です。 特殊なルールを紹介します。 通常種ルール 通常種のゲージは自動で微量ずつ99%まで増加します。 通常種には当たり判定が無く、各種通常技およびゆっくりむーぶ中のみ当たり判定が発生します。 従来の格闘ゲームのように相手を攻め殺すよりは、自キャラをゆっくりさせつつ、 相手をゆっくりさせない戦い方が基本です。 うーぱっく 試合中、うーぱっくが通りかかり様々なアイテムを投下することがあります。 プリンやキノコ、干し草といったゆっくりゲージ増加アイテムから玄翁、ガラス箱といった危険なブツまで種類はさまざま。 なお、ゲームの性質上ゆっくりのリアルスペックとの乖離が見られる場合があります。 あらかじめご了承ください。 キャラ紹介 およびゆっくりむーぶコマンド表 れいむ(れいむA) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりはねるよ! ←→←B or D ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C 『ゆっくりしていってね!』は全ゆっくり中最高のゲージ溜め性能があり、とくにC版は高効率。 移動の遅いれいむ(れいむC)やれみりゃざうるすと距離が離れたなら、 『ゆっくりはねるよ!』→『ゆっくりしていってね!』でゆっくりゲージを溜め切ってしまうこともあるほど。 『ゆっくりはねるよ!』は移動技。Bは後ろ、Dは前へと移動する。れみりゃ(胴無し)から逃げるほど速くはない。 うーぱっくからのアイテム回収や、ゆっくりしていってね!の布石に。 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!』は、わずかながら無敵判定の存在する攻撃技。ダメージもなかなかで、ゲージ上昇有り。 攻撃重視型のみょん、れみりゃ(胴無し)などへの切り返しやカウンターを狙おう。 れいむ(れいむB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆ~♪ゆ~♪ ←/↓\→A or C ゆゆ~♪ 相手の近くで↑\←↓\→B or D 歌の上手なれいむ。『ゆっくりしていってね!』はれいむAの同技に比べてゲージ上昇が少ないものの、二種類の歌技がそれを補う。 『ゆ~♪ゆ~♪』Aは低く、Cは高く飛ぶ飛び道具で、相手に当たると動きを止める。画面端に消える際にもゲージ上昇有り。 『ゆゆ~♪』はいわゆる一回転投げ。歌で相手の動きを止め、相手をゆっくりさせる(わずかに相手のゲージも上昇)とともに 自らのゲージを大幅に上昇させる大技。当たり判定のない状態の通常種をも吸い込むため、常に近接状態で立ち回り 相手をゆっくりさせないことが重要。 れいむ(れいむC) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりうまれるよ! ↓溜め↓ おちびちゃんゆっくりしていってね! ←/↓\→B or D ゆっきゅちちていってにぇ! →←↑ B or D 植物型にんっしん中のれいむ。移動が遅く、特定のキャラには大幅不利ながらもスペックは低くない。 おちびちゃんゲージ(初期値1)の数だけ使える『ゆっくりうまれるよ!』でおちびちゃんを増やしながらゆっくりしよう。 おちびちゃん4匹以上の『ゆっくりしていってね!』には攻撃判定が付属する。 『おちびちゃんゆっくりしていってね!』は赤ゆゲージを溜める技。隙が少ないので暇を見てゲージを補充せよ。 『ゆっきゅちちていってにぇ!』は『ゆっくりしていってね!』の硬直を減少させる専用技。 攻撃判定のあるゆっくりむーぶも移動技も持たないため、攻められると脆く距離を離されても相手に一方的にゆっくりされ終了、 という危険性をも孕む(にんっしん中だけに)テクキャラ。通常技での立ち回りと間合い取りを研究しよう。 まりさ(まりさA) ゆっくりしていってね! A or C連打 むーしゃ、むーしゃ、しあわせー! →\↓/← B or D ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C れいむと同じスタンダードタイプのゆっくり。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!』はうーぱっくから食べ物ゲット時にのみ 使えるゲージ大幅上昇技。移動速度が速く食べ物をゲットしやすいため、狙いどころは多い。 まりさ(まりさB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりしていってね! ↓\→A or C ゆっくりはねるよ! ←→←B or D まりさAよりもさらに移動速度が速いスピード特化型ゆっくり。 二種類の『ゆっくりしていってね!』を持ち、コマンド版は飛び道具。 ワギャ〇イザー、あるいはエコ〇ズAct2風の書き文字が攻撃判定を伴って飛ぶ。発生、速度にすぐれるD版は 相手のゆっくりむーぶを阻止するのに適する。 ありす ゆっくりしていってね! A or C連打 しゃんはーい →↓\A or C ほーらい ←↓/A or C 『しゃんはーい』はカチューシャから人形を生み出し前方に配置。相手を押し返す効果がある。最大8つまで配置可能。 『ほーらい』は高速で跳ねる飛び道具。6/1とらんぷる。 通常種の近くにいるとゲージの自動上昇率が高まるキャラ特性を持つ。しかし近接不得手のシューティングキャラ…… おお、つんでれつんでれ。 ちぇん わかるよー A or C連打 わからないよー 被ダメージ中に←→↓\B or D らんしゃまぁぁぁぁぁ!! ←/↓\→B or D 『わかるよー』はその場でゆっくりする、ゆっくりしていってねタイプのゲージ上昇技。 上昇率は低いものの、ゆっくりしていってねに比べ当たり判定が小さいため特定の飛び道具をかわしつつゆっくりし続けられる。 『わからないよー』は被ダメージモーションをキャンセルして高速離脱する。 『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』はゆっくりらんを召喚。らん存在時は通常技が変化しゲージ上昇率が上がったり性能が変化したりする。 長いコンボをことごとく封殺する『わからないよー』は伝家の宝刀。 しかしながら自身のゲージ溜め能力も高くは無いため過信は禁物。 硬直の大きい『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』を余裕を持って発動する位置取りが重要。 みょん ゆっくりしていってみょん! A or C連打 ちーんぽ! ↓溜め↑A or C でぃーっく! ↓溜め↑B or D 『ちーんぽ!』は黒くてたくましいもの(餡子製の刀)で相手を突き上げる攻撃判定技。ヒット時は黒くてたくましいもので さらに相手を突き上げる追加攻撃が2回まで出せる。 『でぃーっく!』は黒くてたくましいものを振り回す攻撃判定技。当たり判定も大きいので被カウンター注意。 通常技も主に、黒くてたくましいもので行う。 れみりゃ(胴無し) うーうー! A or C連打 たーべちゃーうぞー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ぐんぐにる ↓\→B or D 『たーべちゃーうぞー!』は相手ゆっくりゲージの80%を消し去る大ダメージ技で、当たり判定のない 状態の通常種も捕まえられるが、間合いが狭く発生も遅い。確定状況を作れるかどうかが勝負の分かれ目。 『ぐんぐにる』は槍状の飛び道具。 通常技も弾幕攻撃なので、なぶり殺しと一撃必殺の二段構えで相手をゆっくりさせないよう飛び回れ。 れみりゃ(胴有り) うー! A or C連打 うっうー! ↓\→A or C うあうあ♪ ←→←B or D れみりあうー☆ ←/↓\→A or C たーべちゃーうどー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ざうるす進化 ↓溜め↓ 捕食種ながら、こちらはゲージ上昇重視タイプのゆっくり。 『うっうー!』、『うあうあ♪』、『れみりあうー☆』は連続入力可能。『うあうあ♪』と『れみりあうー☆』には 攻撃判定があり、ゲージを溜めつつ攻撃できる。 『たーべちゃーうどー!』は『たーべちゃーうぞー!』と代わり映えの無い性能だが、各種ゆっくりむーぶでゲージを溜めつつ、 100%阻止に近づいてきた相手に狙えないこともない。 『ざうるす進化』は、文字通りれみりゃざうるすになる。ざうるす時はゲージ上昇速度が飛躍的に上昇するが移動速度が激減。 対れいむCなどに。同一コマンドで元に戻ることもできる。 = = = = 「なるほどねー。 ……それにしてもれいむまりさの顔の違いがわからん……」 れいむはれいむAを、俺はれみりゃ(胴無し)を選んでゲーム開始。 「どぼじででびりゃえらぶのぉぉぉぉぉぉ!!!???」 「このお兄さん、たとえ貴様がゆっくりといえども容赦せん。 それにもともと、ペットショップ使いなもんでね」 * * * * かくしてゲームスタート。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪!」 「ゆゆゆ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕からゆっくりしていってね連呼のれいむ。 ……ああなるほど。 ゆっくりや⑨でもプレイできるように全キャラ連打コマンド持ってるわけね。 「ってやべえ!」 予想以上にゲージの上昇が速い。慌てて弾幕攻撃をするが、すでにれいむのゲージはかなり溜まっている。 少しずつゲージを削るが、通常種ルールの当たり判定消滅とゲージ自動上昇によって開いた差はなかなか縮まらない。 「ゆっぐりじでいっでねっでいっでるでじょぉぉぉどぼじでゆっぐりじないのぉぉぉぉ!!!」 俺は一向に当たる気配のない弾幕攻撃を諦め、れみりゃ持ち前の素早い飛行でれいむに近づく。 「てめーこそ喰らって死ねぇぇぇぇぇぇ!!!『たーべちゃーうぞー!』」 「『ゆっくりはねるよ!』」 すかり。 起死回生の一発は(たぶん暴発した)移動技にかわされ―― 「っ―――!?」 \うぃなー いず れいむ/ 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺は、ゆっくりに負けた男となった。 * * * * 俺はこのゲームを舐めていた。それは認めよう。 俺はれいむの餌を七日分用意して、俺自身の身支度を整えた。 玄関に出た俺をれいむが呼び止める。 「ゆゆゆ!おにーさんどこいくの!?」 「旅に出る。 一週間後に、貴様との再戦を申し込む。それまでこの家には帰らん」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉ!!??おにーさんならとくべつにゆっくりしていっていいよぉぉぉ!?」 「もともと俺の家なんだが。 まあそれはいい。PCは置いていくから、せいぜい腕を……腕はないか。 せいぜいあんよを磨いておけ」 「いやだよ!!おにーざんといっじょにいだいよぉぉぉぉ!!!」 「俺も一週間後にもっと強くなって帰って来る。その時まで首を……首はないか。 あんよを洗って待っていろ」 「ゆゆぅぅぅーーーん!!」 * * * * それから、格ゲー仲間の友人に電話をかけ、メシを作ってやるかわりに一週間の格ゲー強化合宿を取り付けた。 言うまでもないが、飼いれいむに対戦で負けた話をしたらたっぷり三十分ほど笑われた。 こうして、友人との対戦に明け暮れる日々が幕を開けた。 「これぶっちゃけ、無しれみ弱いぞ……詰んでるマッチアップが多すぎる」 友人の指摘はもっともだった。 当初は気にも留めていなかった通常種ルールが、実は馬鹿にならない強さで設定されている。 あの日の初プレイでれいむが見せた、れいむAの高火力な開幕『ゆっくりしていってね!』が ゲームエンドに直結するほどにだ。一度奪われたリードはそうそう奪い返せない。 「うーむ……」 「胴れみはどうよ。俺も使ってないけど」 「そういや試してなかったな」 俺はれみりゃ(胴有り)を選び、友人はれいむA。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪ぃ……」 「やっぱそう思うよな」 「うっうー!」 「うあうあ♪」 「れみりあうー☆」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕『ゆっくりしていってね!に対して、『うあうあ♪』の先端に発生する攻撃判定がぎりぎり届かない。 単発の『うあうあ♪』も試したが、そもそもリーチが短く届かない。 そしてやはり逃げ切られる。 「なぁ……れいむAって強キャラじゃね?」 「まごうことなき強キャラだな……むしろ厨キャラまであるな。んで捕食種弱い」 「このサークル、れみりゃになんか恨みでもあるのか……?」 「マイルド調整の結果じゃねーの……それにしてもれみりゃ弱い」 「だけどさぁ、れいむA使う気ないんだろ?お前の性格からして」 「わかってんじゃねーか」 下手の横好きといわれても、俺は勝つためにキャラ換えしたことは一度も無い。 それは誇れることなんかじゃなく、くだらないこだわりに過ぎないのだがどうしてかキャラ換えできない。 それはきっと、俺そのものと強く癒着してしまっているのだ。 たとえば、ゆっくりがゆっくりを求めずにはいられないのと同じようにそれは当たり前のことなのだ。 「……次、行こうか」 「ああ」 俺はれみりゃを選び、再び対戦を始めた―― そして、またたく間に一週間が過ぎる。 俺は友人に礼を言って、帰途に就く。 「じゃあ、行ってくるぜ」 「頑張れよ」 * * * * 「ゆゆゆ!おにーさんまってたよ!ゆっくりしていってね!」 「だから俺の家だと言うに…… まあいい、勝負だ!れいむ!」 「ゆふふ……れいむはかなりあんよをあげたよ。せいぜいゆっくりしていってね」 「あんよ……?ああ、腕を上げたって事な。 俺だってそうさ。一週間前までのみじめな俺には二度と戻らない」 れいむはれいむA、俺はれみりゃ(胴付き)を選んだ。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 0.60- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは開幕ゆっくりしていってねを放つ。単純だが効果的な戦法だ。対して俺も手を打つ。 ボワン 「ゆゆ?」 ざうるす進化だ。これにより、俺のれみりゃはれいむに負けないゲージ上昇率を得る。 友人との合宿で、れいむAの火力に対抗するべく俺が考え出した、たった一つのソリューション―― 俺達は発想を転換しなければならなかった。 相手を倒すことより、自分がゆっくりすること。 それがこのゲームシステムにおいて、もっとも効率よく勝利条件を満たす手段なのだ。 格闘ゲームの常識に捕らわれていた俺と友人が、使えない技として無意識に除外していたざうるす進化。 それこそが勝利への鍵だったのだ。 4.42- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……」 「うーうー!ぎゃおー!うっうー!」 Cゆっくりしていってねの連打よりも、ざうるすれみりゃと化したれみりゃの技の方がわずかにゲージ上昇率が高い。 その微細な積み重なりは、やがて目に見える値となってゲージに表れる。現在れいむ57%、れみりゃ65%だ。 5.21- 「ゆゆっれみりゃはゆっくりしないでね!ゆっくりするのはれいむだよ!」 ついにれいむが痺れを切らせた。 「『ゆっくりはねるよ!』」 ――予想通りだ。 「『うーうー!もとにもどるどぉ~』」 ボワン こちらへ素早く跳ねてくるれいむのモーションに辛うじて反応し、れみりゃを通常形態へと戻すことに成功する。 ジャンプからのぼでぃぷれすをガードし、続く通常技を頭を抱えてやり過ごす。 「ぷんぷん!もうおこったよ! 『ここはれいむの……」 微妙な状況だ。 ――発生前に潰せるか(↓Aでカウンターを狙える) ――ガード(削られる/ゲージ2%減) ――喰らえば仕切り直し(ゲージ増減れいむ+7%れみりゃ-5%/それより距離が離れるのはまずい/Cゆっくりしていってねで死ぬ) 「……ゆっくりぷれいすだよ!』」 読み違えれば ――潰せる(無理だ) 負ける。 高速で流れる思考とは裏腹に、反射的に指が動いていた。 「――っ!」 俺の親指はAボタンを外してパッドを掴み、れいむのふくれっ面攻撃をガードする。 ――まだ行ける(ゲージはまだリード/進化or↓AB踊りコンボor投げ) 7.33- れいむが小さく一歩退がった。一瞬間が空く。 「うー!うー!」 それは俺のれみりゃのボイスではない。 画面の左上部から飛来する小さな影。その位置はれみりゃよりれいむに近い―― 「うーぱっく!れいむにあまあまちょうだいね!」 その瞬間、なにもかもがスローモーションに見えた。 俺は指を滑らせ←Cを繰り出す。 ←Cは攻撃判定は無く、前方に踏み出しながらゲージを溜める踊り技だ。 もしもれいむが攻撃を繰り出したらカウンターとなってしまう。 しかし俺には確信があった。 ――次に貴様は『ゆっくりはねるよ』と言う れいむは一生懸命にあんよで十字キーを操作している。 間違いない。れいむにとっては複雑な技コマンドを出すために、常時よりも丁寧にあんよを動かしている。 「『ゆっくり……」 ――逃がさん(投げ)(投げ)(投げ) すでに←Cの硬直を利用しコマンドは完成している。 「……はねるよ!』」 ――ここからなら ←Cで踏み出したこの位置からなら、ぎりぎり届く。 しゅばっ 「うー!」 れみりゃの手が伸びて、今まさに後方へと移動しようとしたれいむを捉える。 「ゆゆぅぅぅぅぅーーー!!??」 「つかまえたどぉ~。『たーべちゃーうどぉー!』」 画面がブラックアウトし、れいむの絶叫が響き渡った。 * * * * \うぃなー いず れみりゃー/ 「うっうー!」 「ゆゆん……さすがはおにーさんだよ!」 「いやーれいむこそなかなかだったぞ。レバガチャかと思ったら意外にコマンド正確だったしな」 だからこそキャラ差を読みでカバーすることができたわけでもあるのだが。 「もういっかい!もういっかいだよ!」 「よーし、やろうか」 俺は快く承諾する。 「さぁーて、”リベンジも果たしたことだし”俺もれいむA使っちゃおうかな~」 俺は勝つためにキャラ換えはしないが、その他の理由でキャラ換えすることは結構あるのだ。 「ゆゆっ!まけないよ!れいむがいちばんうまくれいむをつかえるんだよ!」 「俺だって負けないぞー。何せ、六日間もゆっくり練習してきたからな」 俺はこの時のために練習してきたれいむAで、れいむを完膚なきまでに叩きのめした。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりはねる(キャンセル)ぷくー! ゆっくりしていってね!ぷくー!ここはれいむのゆっくりぷれ(キャンセル)ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ(キャンセル)ばかなの?ゆっくりしていってね!ばかなの?しぬの? ゆっくりしていってね!ばかなの?ばかなの?ばかなの?しぬの?ゆっくりしていってね!」 「ゆあああああああ!!!!!おにーざんばっがりずるいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!! でいぶもゆっぐじじだい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 俺は軽快にコンボを継続し、れいむを空中に浮かせ続けながら言ってやった。 「おそらをとんでるみたいだろ?れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!」 END ■ □ ■ □ ちなみにこの二ヶ月後、れいむA、れいむC、ちぇん、みょんに10割コンボが発見され―― 世界は、核の炎に包まれた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1324.html
今週最後の仕事を終え、夕暮れの中、家路に着く。 以前は同僚と飲みに行ったりしていた物だが、ここ数週間の間は、めっきり人と遊ばなくなった。 娯楽に掛かる費用と時間の殆どが、アレの虐待や拷問に割り振られるようになったからだ。 さて、アレとは何かと言えば、ここ最近になって急激に繁殖を始めた謎の生命体、ゆっくり達の事だ。 私以外にもゆっくり虐待を娯楽としている人間は多数居るそうだが、私の嗜好は、 一般的な虐待紳士・淑女の皆様方とはいささかズレたものであった。 簡潔に言おう。 私は『ゆっくりれみりゃ及びその亜種』のみを専門的に愛好しつつ虐待・虐殺するのが大好きなのだ。 初めて『胴無しゆっくりれみりゃ』を見たのは、数週間前の事だった。 仕事帰りにたまたま、民家の畑に居た、ゆっくりれいむ・まりさ種の成体二匹が、 ゆっくりれみりゃに捕食されているのを目撃した。 その時まで私は、ゆっくり種など大して気にも留めていなかった。 農家や露天商の方にとっては害獣なのだろうが、私の仕事は雑貨屋での事務・経理だ。 仕事上、ゆっくりの話を聞く事はあっても被害を受けた事など無いし、興味も無かった。 愛好もしなかったし、虐待もしなかった。 ――まぁ、それこそ『路傍の石』として、路上に居たら蹴る程度の事はしていたが、それも道から退かす程度の強さであり、 餡子をぶち撒けて絶命させるような力では無い。 また仕事上、金銭などの貴重品取り扱いには神経質にならざるを得ない為、 戸締りも厳重にしていたので、家を荒されるといった事も無かった。 話を戻そう。 初めてゆっくりれみりゃを見た時、私の胸に言いようの無い暖かな気持ちが芽生えた。 「うー♪ うー♪」 と愛苦しい声で鳴きながら、目を細めて可愛らしく飛び回る、胴無しゆっくりゃ。 私は目を輝かせて、胴無しゆっくりゃが獲物を食し、ぱたぱたと飛び去っていく姿を見送った。 なんて、可愛らしいんだろう。 ああ、可愛い、可愛い可愛い、可愛い可愛い可愛い!! ――ブチ殺したくなる程の可愛さだ。 私はその日から、ゆっくりゃに魅了された。 休日に森に出かけては胴の有無を問わず捕獲し、また亜種である『うーぱっく』『ゆっくりゃザウルス』も捕まえた。 そして、大枚を叩いて建築した『ゆっくりゃ収容所(拷問・虐殺室も兼ねる)』に閉じ込めておく。 一日2~3匹ほど殺すとして、一週間分の約20匹のゆっくりゃ達を休日の間に確保しておくのだ。 サイズの小さい赤ちゃん等が脱走しない様に、きちんと定番グッズの『頑丈な透明箱』に閉じ込めてある。 餌に関しては捕食種という事もあり、 菓子やの甘言に釣られた馬鹿なれいむ種やまりさ種を捕まえて箱に入れるだけで勝手にむしゃむしゃ食ってくれる。 ……胴付きに関しては、 「うっう~♪ れみりゃはぷっでぃ~んがほしいんだどぉ~」 「おぜうさまはあんこよりぷっでぃんがくちにあうんだどぉ~」 などとワガママを言って、グズったり泣き喚いたりと散々だったが、 死なない程度に顔面を殴打したり、 「ぶぎゃっ!!」 腕・脚・翼を引きちぎってやったり、 「いぎっ!? ……いだいーー!! だずげでざくやぁぁぁ!!」 腹に蹴りを入れて転がした後、顔面を潰さない程度に踏みにじったり、 「おごぶぇぇぇっ! う、うぅぅ~!!」 そんな調子で適度な虐待をしつつ、ゆっくり種以外の餌をけして与えないようにしていると、 何を言っても食事は変わらないと肉饅脳で理解したのか、 「「わ"がり"ま"じだー!! ごべん"な"ざい"だべま"ずー!!」」 渋々食べるようになった。 あと、特に理由は無いが、逆さにしたうーぱっくの中に煮えたぎった熱湯を注ぎこんで苦しむ様を楽しんでみたりもした。 「……う? うぅうううっ!? うぅあぁっっ!!」 手足もなく四角い体型が災いして、体内を灼く激痛から逃れられず絶叫するうーぱっくは本当に可愛かった。 余りの可愛さに刃物で滅多刺しにして穴だらけにしてやった事もあった。 それでも死なない、いや死なない生命力も立派なチャームポイントだと思う。 あぁ、やっと我が家に着いた。 手早く夕食を済ませる。 明日も仕事だ。 お楽しみの時間をたっぷり味わう為には、それ以外の時間を削らねばならない。 動きやすく、また油に汚れても構わないような服に着替えて、いそいそと収容所へ向かう。 扉を開けるとそこは、 「うー! うー!」「うっうー!」 「う~?」「うー♪」 「うっう~うぁうぁ♪」 「いないいなーい……うー!」 「う~まんま~♪ だっこちて~♪」 「れみりゃのあかちゃんかわいいどぉ~♪」 「ぎゃお~! た~べちゃ~うぞ~!」 れみりゃ種の大合唱が私を出迎えてくれた。 あぁ、これだ。 この鳴き声。 実に癒される。 コンテナの様に大量に積まれた透明箱の中で、沢山のれみりゃ種が勝手気ままに暮らしている。 水は毎日きちんと換えているし、箱の中には藁も敷いてやっている。 胴無しの飛行型は巣を作りたがるので、その箱には藁だけでなく、小枝なども入れてある。 もちろん食料として、一般的な被捕食種のゆっくり――れいむ種やまりさ種を入れてあるので、餓死の心配も無い。 狭いスペースでぎゅうぎゅう詰めだとストレスの原因になるので、 サイズの小さい胴無し型なら三~四匹、胴有りなら一~二匹程度を、そこそこ大きめの箱で飼っている。 餌となるゆっくり達は、いちいち加工所から買っていては莫大な餌代になってしまうので、 家の付近に菓子などを載せた皿を置き、それを食いにきた馬鹿饅頭を捕獲したり、 一気に大量の数を揃える時は、近場の森や林で親ゆっくりと思しきサイズの無能饅頭を見つけ、 「ゆっくりプレイスに案内してあげるよ」 と甘言で釣って、一家総出で家までついて来た所を拘束したり、といった手段で用意した。 さて、待望の虐待タイムだ。 「うっうー♪」 「まんま~!」 「う~う~♪ お外だどぉ~♪ おぜうさまをさっさとだすんだどぉ~」 胴有り二匹と胴無し一匹を選別して取り出し、隣の拷問室へ運んでいく。 拷問室と飼育箱室は防音加工された壁で区切られているため、 ゆっくりゃ達は、将来自分達がどうなるのかを知らないまま日々を過ごし、やがて『その日』を迎えるのだ。 三匹全てが拷問室に入った所で、私も室内に入って扉を閉じる。 拷問室内にあるのは、手術台を思わせる大きな机と、椅子が一つ。 その傍らには、ノコギリや杭、針やマッチなど、 さまざまな拷問グッズを詰め込んだ、素敵な道具箱が鎮座している。 床は洗い流すのに便利な防水加工が施され、 いくつも刻まれた小さな溝が、備え付けられた排水溝へ続いている。 「しゃくや~! このおへやなんかへんだどぉ~!」 「うっうー! ううー!」 「まんまぁ~! れみりゃかえりゅ~!」 この室内に充満する奇妙な空気を悟ったのか、ゆっくりゃ達が落ち着きを無くしてざわめきだす。 既に百匹を越えるゆっくりれみりゃ種が殺されてきた部屋だ。 本能的に何か感じる物があるのだろう。 この日の為に愛情たっぷりで育ててきたゆっくりゃ達を、悪意たっぷりで虐め殺そう。 まずは一匹目。 胴無しゆっくりゃの成体を両手で掴んで、頬を軽く引っ張る。 「うっうー♪ うー?」 この時点では、相変わらずのニコニコ顔だ。 そこから徐々に、片手だけ力を強めてみる。 「うぅー……うっ!」 笑みが消えた。 痛くなってきたらしい。 頬が赤くなり始める。 当然辞める気は無い。 更に強くしてみる。 「んー! んぅうー!」 目に涙が浮かんできた。 あぁ、いい表情だ。 私の精神がほんのりと癒されていくのを感じる。 「うぅぅぅぅぅ……!!」 涙をぼろぼろと零す。 手足を持たないこのゆっくりゃは、羽を必死に動かして、私の手をペチペチと叩き始める。 飼い主に暴力を振るうなんて、悪い子だ。 お仕置きをしてあげなくては。 引っ張っていた手を離し、室内に置いてあった道具箱を片手で開く。 有った。 「うぅ~…」 まだ痛みが引かないのか、涙を零しつづけるゆっくりゃ。 泣こうが喚こうが、もうお仕置きは決定済みなのだが。 「う?」 まだ赤みの残る頬に、先ほど道具箱から取り出した、細長い針金の先を押し付ける。 そのまま、ゆっくりと押し込んでいく。 「うっ! う~!」 少しづつめり込んでいく先端。 再び羽を動かして痛みを訴えるゆっくりゃ。 先ほどはそれで行為が中断されたので、これでまた離してもらえるとでも思っているのだろう。 おお、愚か愚か。 更に力を込めつつ、回転を加えて押し込んでいく。 「うっ…うぅぅぅ! うぁあぁぁぁぁぁぁ!!」 グジュッという音と共に、針金が頬を貫通した。 頬に空いた傷口から、肉汁が零れ落ちる。 激痛に白目を剥いて痙攣を始めるが、この程度でれみりゃ種は死なない事は知っている。 「うっ……うっ……うぁぁあぅっ!!」 ドリルの様な回転を加えつつ、もう片方の頬も一気に貫通させた。 滴り落ちる肉汁と涙。 それに委細構わず、素早く引き抜いて、再び頬にもう一つ穴を空けてやる。 「んぅぎゃっ!?」 今度は両の頬を素早く貫通させた。 そこから、針金を何度も突き刺しつつ、抉るように回転を加える。 「……あうぁぁぁぁぁっ!! うぎぎゃ! うぎぃぃぃぃぃ!!」 お前はサルか、と突っ込みたくなる絶叫を挙げるゆっくりゃ。 針金を刺したまま、クルリと手の中で回し、片方の羽を引きちぎる。 「ぎゃっ! うぁうっ!!」 いい声だ。 もう片方はゆっくりといこう。 私の手を叩いた悪い羽はきっちり除去してやらなくては。 みちみちと音を立てて、羽の根元から肉汁が零れ落ちていく。 「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」 先ほどは一瞬で過ぎ去った痛みが、今度はじわりじわりとゆっくりゃを苛んでいる事だろう。 唸るような苦鳴を漏らすが、それがより一層、私の嗜虐心をそそるのだ。 顔を真っ赤にし、涙と肉汁を零しながら、全身を震わせるゆっくりゃ。 なんと可愛らしい。 あまりの可愛さに思わず、中程まで千切れかけた羽を、一気に捻じ切ってしまった。 「うぅぁっ!!! かひゅっ、ひゅー! ひゅー!」 泡を吹いて、弱い呼気を漏らす。 大きく何度も体を痙攣させている。 これが通常のゆっくり種ならショック死の前兆なのだが、 愛すべきれみりゃ種はまだまだ死なない。 ここで、一匹目に時間を掛けすぎている事に気付く。 仕方無い。 こいつはそろそろ殺してやろう。 両手の親指を、愛らしい小さな二対の目にそえて、抉る。 寒天の様な感触を楽しみながら、更に指を押し込む。 「……うぅっ……うーっ………う……うぅ……」 もはや泣き喚く気力も失せたのか。 薄いリアクションでは楽しめないじゃないか。 殺すにはいいタイミングだったのかもしれない。 親指が生暖かい肉まんの餡に包まれる。 潰されたゆっくりゃの両目から肉汁が吹き出した。 「さようなら、愛しいゆっくりれみりゃ」 別れを告げて、顔面を穴だらけにされ、羽をもぎ取られ、両目を抉られたゆっくりゃを、 「うぶぎゅっ!!」 両手で押しつぶしてやった。 「さて」 肉片と肉汁まみれの手で、私は振り返る。 「ぎゃっ!」 「うみゅっ!?」 一連の凶行を眺めて放心状態に陥っていたらしい、胴付きゆっくりゃの親子と目が合う。 どちらから殺そうか。 まだ成長しきっていない為に立つことが出来ず、床にぺちゃっと垂れた体勢の赤ちゃんゆっくりゃ。 その襟首を引っつかんで持ち上げる。 すると、 「やめでーーーー!! あがぢゃんかえじでぇぇぇぇぇ!!」 と、親ゆっくりゃが私の裾を掴んで泣き喚き始めた。 それにつられたのか、 「うー! やぁなの~! れみりゃはまんま~といっちょにいりゅの~!」 赤ちゃんまで愚図り始めてしまった。 泣き叫ぶ姿も愛らしい。 心配する事は無いんだよ。 ゆっくりゃ。 お前達は親子揃って、ここで拷問死するんだから。 今日のお楽しみはこれからだ。 ~~~~~~ 後編に続きます。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/934.html
ある日の昼下がり、柔らかな日差しが心地よい里の広場を一人の青年が歩いていた。 太陽が人間にとって恵みであることを実感しながら腹ごなしに歩いていた彼の視界を大小の饅頭が横切る。 ゆっくりの親子だ。 彼はそれを見ても手を出したりなどしなかったが、その理由は満腹による幸福感以外にもある。 ゆっくりはバッヂを付けていたからだ。 先頭の親と思わしきれいむ種はぴかぴかのゴールドバッヂ、後に続く子供たちは渋い輝きのシルバーバッヂ。 大きさからするとシルバーバッヂの取得が難しいであろう年齢なのに所持しているという事はそれだけで目の前のれいむ種が優秀であることを思わせた。 とはいえこの里ではバッヂを付けたゆっくりなど大して珍しくも無いために彼はすぐに視線をはずす。 ──おや? 視線をはずそうとしたところで彼はれいむ種のリボンに付いた別のバッヂに気づいた。 少なくとも彼が見たことの無いバッヂだ。 跳ねながら去っていくれいむを彼が目を凝らしてよく見たところ、その見覚えの無いバッヂは4つも付いていた。 流石にゆっくりに聞くのもどうかと思った彼がそのバッヂの正体を考えるのを諦め、踵を返したところで今度はうーぱっくが視界に入った。 八百屋の親父が野菜をいくつか入れてやっている最中だった。 店主の笑顔からするとどうも配達料金と言うわけでもなさそうである事に気がついた彼は何事かと近づいてみる。 近づいたところでうーぱっくも先ほどのれいむ種と同じようなバッヂを今度は5つ付けている事に彼は気が付いた。 一体何なんだろうなと彼が考えているうちにうーぱっくは嬉しそうな声を上げながら飛び去ってしまったが、疑問をぶつける相手はまだ残っていた。 彼は八百屋の親父に聞いてみることにした。 「何なんですか?今の?」 「ン?ああ、兄ちゃん見たこと無いのか。アレはな、『お祝い』だよ。」 「お祝い?」 「そうだ。さっきのうーぱっくに同じバッヂが5つ付いてたのには気が付いたか?」 「ええ、まあ。」 「なら話は早い。あれはだな…」 店主をやっているだけあって親父の説明は要点をとらえた物であり、彼の疑問はこれで解消された。 その説明の内容は… 太陽が山脈の向こうに隠れ、薄明すら消え完全な闇が訪れたころ。 妖怪の活動時間であるというのに活発に動く人々が居た。 照明を落とされた薄暗い部屋の中で動き回る彼等の顔を長方形状の光る物体がぼんやりと照らす。 その中で一際大きい光る長方形の前に陣取った2人の男、そのうち片方が口を開く。 「今日は来ないんですかね?連中?後1時間で時間切れですよ。」 「だといいんだがな、連中はゆっくりとはいえ知恵が無いわけじゃあない。こちらが油断するときに来るかも知れん。」 「そりゃご勘弁願いたいですね。」 話しかけた方が肩をすくめる。 彼らはこの部屋に居る人々の中で比較的高位に存在するようだ。 最初に口を開いた彼がのどの渇きを覚えてポットからコーヒーを注ごうとした所で事態は起こった。 やかましい警報音、続いて電気的に処理を行われたことが伺える人の声。 陶器を何かに高速で激突させたような音がする。 『こちら北方警戒塔。接近する反応有り。方位0-1-5、高度150。』 通信音声が聞こえるとほぼ同時に一番大きいディスプレイの中央から上よりに赤い光点が灯った。 「UNKNOWN」という同じく赤い文字が添えられている。 「来ましたね。お陰でコーヒーが台無しですけど。」 「だが、連中は襲撃隊ではないだろう。畑を襲うつもりならば数が要るからな、もう少し大きな反応になる。」 「とはいえ、放っておく訳にも行かないと。」 「そうだ。 管制!いくつ出せるか!?」 この場の指揮権を持っていることが人目で見て取れる初老の男がコーヒーでズボンを台無しにしている部下に返答をおこない、続いて別の人物に大声で訊いた。 「一番近いのは広場北部の連中です!うーぱっくが12待機中!」 「よし、6あげろ。」 「了解、迎撃を発令します。」 管制と呼ばれた人物は彼の指揮官に直ちに返答、同時に慣れた手つきで受話器を取り、直通回線へ命令口調で声を掛けはじめた。 ───さて、今夜も防ぎきれるかな? 初老の男は己の白髪交じりの髪に手をやりつつ、ディスプレイを見上げながらそう思った。 けたたましい警報が鳴る部屋の中へ、一人の人物がせわしない様子で入ってきた。 早歩きで入ってきた彼は、その部屋の壁面に取り付けられたロッカーの様な棚へと向かう。 棚一つ一つの扉に取り付けられた番号札を確認すると、その中から奇数番号の物を選んで次々と開けていく。 防音効果のある扉が開かれたために、当然ながら棚の中にも警報装置の大合奏が入り込み、それにたまらず住人が飛び出してくる。 「うー!うー!」 出てきたのはうーぱっく。 睡眠中だったのか、飛び出した勢いそのままに反対側の壁へ激突する者もいたが、すぐにこの部屋唯一の人間の前に集まる。 彼は自分の前に集まった段ボール箱が開けた扉の数と揃っているかすばやく確認すると、壁面に取り付けられたスイッチ押し口を開く。 「よし、全員聞け。」 その言葉でうーだのいーだの騒がしかったうーぱっく達は黙りこくる。 ここでこうしなければどうなるか、それを知っているからだ。 警報が止まったこともあり、幻想郷の夜においてもっとも自然な静寂が訪れた。 「たった今、ここから北で畑への侵入を企てる悪いゆっくりが発見された。」 彼はそこでいったん言葉を切り、うーぱっくの表情を見回す。 いつでも笑顔というマヌケな顔ではあるが、これらと付き合いの長い彼はそこにうーぱっくなりの真剣さを見出す。 ───うん、これなら大丈夫だろう。 「君たちはこの連中を何とかしてもらう。装備積み込み後直ちに向かえ、いいな?」 「「うー!うー!」」 彼の言葉にうーぱっくは勢い良く返事。 急ぎの状況であるので、彼はすぐに扉へと向かい開け放つ。 と、同時にうーぱっくが次々と猛烈な勢いで突進、扉の外へと飛んでいく。 扉から飛び出すと同時に、その横に積まれた装備を器用に自分の体内へと入れていく。 先に飛び出したものたちは上空で旋回しつつ他の仲間を待っていたが、全員、すなわち6匹揃うと見事な雁行隊形を作り北へと飛び去った。 「広場北部よりうーぱっく6、上がりました。」 ディスプレイに緑の三角形が6つ灯る。全てディスプレイの上、つまり北を向いていた。 「これで、とりあえずは安心だな。」 初老の男は彼に割り当てられた指揮官用の席に座りつつ言った。 いつの間にか数が4つへと増えた赤い光点──接近により観測精度が上がったためだ──と6つの緑の光点が重なるまでに暫く時間がある。 彼の経験から言うと暫くは安心できる時間の筈だった。 再び警報音、続いて通信回線越しの音声。 『東方警戒塔より指揮所。緊急事態、当方の電探に大規模な感有り。方位0-9-1、高度100。』 ディスプレイ右端に赤色の光点が次々と灯っていく。 通信音声が途切れるか途切れないかのうちにディスプレイ右側が赤く塗りつぶされてしまった。 「まずいぞ、こりゃあ。」 白髪交じりの頭をかきながらそうこぼす指揮官。 が、セリフの内容とその態度は全く逆のものだった。 「噂の東の群れですかね、連中。」 いつの間にかズボンを交換してきた部下が言う。 「そこまではまだ分からん。死体なり捕虜なりを調べてみない事にはな。だが、その可能性は高いだろう。」 ディスプレイを見つめつつ返答する。 ───さて、どうする? 彼はディスプレイの一部を赤く染める元凶にどう対処するか考えていた。 頭の中に対処方法を次々と展開していく。 何か思いついたのか手元の操作ボタンを使い、指揮官用にメインの物とは別に取り付けられたディスプレイの表示を変える。 点線で形作られた円がいくつか現れる。 ディスプレイの範囲殆どを多い尽くす円が一つと、それの四分の一程の中央付近に固まる円が4つ。 前者は地対空ミサイル──幻想入りしたターター・システム──であり、後者は対空砲──同じく幻想入りした様々な対空砲──だった。 ターゲットとなる赤い光点は東に存在し、ここからそこまでの空間には草原と林以外何も存在しない。 すなわち全力で射撃が可能ということだ。 もし、妖怪だとか妖精の住む山や森があったならばそうは行かない。 流れ弾はもちろん、ターター・システムの電探が放つ電磁波ですら妖怪や妖精には不愉快な物だからだ(流石に死にはしないが)。 一度、ターター・システムの電探──怪しげな手段で入手されたイルミネーターだった──試験のとき、最大出力の電磁波をたまたま飛行していた烏天狗に照射して危うく電子レンジ状態にしかけたという事があったからだ。 不幸中の幸いか、電磁波を食らった烏天狗はかの有名な<文々。新聞>の記者兼カメラマンでは無く、もっとマイナーな技術系新聞の記者であった為にこの事件は比較的好意的に報道され、システム丸ごと破壊されるなどという憂き目にはあわなくて済んだ。 もっとも、体中から水蒸気を上げる烏天狗が「この機械について教えてくれ!」などと言いながら乗り込んできたときは生きた心地がしなかったそうだが。 ともかく、指揮官たる彼は命令を下す必要がある。 「付近のAAAは全て射撃体勢を取らせろ。ここのSAMもだ。」 「了解、射撃体勢取らせます。」 何人かが受話器をとり、よどみない口調で指令を伝えていく。 「MiGは出られないのか?」 一機だけの飛行機械の存在を思い出した彼は部下に確認を取らせる。 やや年かさのある部下が受話器を上げ、ボタンを押して直通回線を開き確認を取る。 通話はすぐに終了し、指揮官のほうを向いて口を開く。 「出られんそうです。エンジンの定期オーバーホール中だとかで。」 「分かった、ありがとう。出られないなら仕方ないな。他のを上げよう。付近で上げられるのは?」 別の部下が手元の入力機器を操作し、ディスプレイに現れた表示を確認する。 「東門にうーぱっくとまりさが各6、東部の畑でうーぱっくとちぇんが8待機中です。」 「よし、うーぱっく・ちぇんを4組残して全部あげろ。」 「了解、指令を出します。」 やはり淀みない動きで受話器をとり、指令を出していく管制。 しばらくすると、ディスプレイ上の中央やや右寄りに緑の光点が二集団現れた。 赤い塊の上と下から斜めに接触する進路を取っている。 距離の関係から、先に会敵したのは後から上がった連中だった。 闇の中を大量のうーぱっくが飛行している。 指揮官の予想とは違い、東の群れとは全く無関係なゆっくりたちであったが、人間の畑を襲撃するであろうという予想のほうはいささかの狂いもなく的中していた。 「「うー!うー!」」 「さむいよ! ゆっくりしたいよ!」 「もうすこしでつくからね、みんなでゆっくりしようね!」 断熱性に定評のあるダンボール製のうーぱっくボディとはいえ、それなりの速さで飛行しているために隙間風がゆっくりを襲っていた。 ガタガタとふるえ、歯をガチガチ鳴らしながらそれでも『しあわせー!』な未来を夢見て耐えるゆっくりたち。 しかし、その努力はついに報われることは無かった。 「「うー!?うー!?」」 先頭集団のうーぱっくたちが一斉に声を上げる。 人間にはうーぱっくの鳴き声の違いなど分からないが、乗り込んでいるゆっくりにはそれで十分だった。 「どうしたの? なにがみえるの?」 「ゆっくりおしえてね!」 うーぱっくの疑問の声にゆっくりたちも応える。 「うー!うー!」 うーぱっくのその「あっちを見ろ」という意図の鳴き声を聞いて、ゆっくりは吹きすさぶ冷たい風に耐えながら屋根──つまりうーぱっくの上部──を開けて周囲を見回す。 それを見たのは他のゆっくりの上に乗せてもらい、上を見上げたゆっくりまりさだった。 まりさの視界には箱が幾つかあった。 「ゆっ!みんな! あっちにもうーぱっくがいるよ!」 まりさが声を上げる。 それに気づいた他のゆっくりたちも上空へと体を向ける。 「ほんと!? れいむたちといっしょにいきたいのかな!?」 「ゆっくりあいさつしてみようね!」 「うーぱっく! あっちのうーぱっくにちかづいていってね!」 うーぱっくの方は何か嫌な予感がしたが、しかしクライアントの意向に逆らう事などできず仕方なく高度を上げていく。 「まずい!きづかれたのかだぜ! うーぱっく、いまからこうげきするんだぜ!」 「うー!うー!」 一方、目標の群れが上昇してくることに気づいた迎撃隊のリーダーまりさは焦っていた。 彼女たちの攻撃方法は十分な高度差を生かした物だったからだ。 「いくんだぜ!」 リーダーの乗るうーぱっくが右へ左へ交互に何回か傾斜し──バンクを振ると──、次に急角度で高度を下げていく。 他のまりさが乗る残り3つのうーぱっくもリーダーに一糸乱れぬ動きで付いていき、ちょうど四つ箱が急降下する形を取る。 途中で散開してそれぞれの獲物とする箱にうーぱっくの進路を変えると、次の瞬間リーダーが合図を出す。 「いまなんだぜ!」 うーぱっくが進路を急上昇の角度へと変え、同時に底部を開いてまりさたちを放り出す。 高速で空中へと躍り出たまりさたちは膨らんだり空気を吐き出したりしながら最後の微調整を行い、目標へとまっしぐら。 口を大きく開けてうーぱっくの翼ダンボールを食いちぎった。 目標集団をそのまま通り抜けると、いつのまにか下へと回っていたうーぱっくが待っており、まりさたちは無事に再搭乗できた。 リーダーが後ろを振り返ると、片方の翼を失って不安定になったうーぱっくが螺旋を描きながら落下していくのが見えた。 うーぱっくが突如急降下したと思ったら、そこから何かが落ち、あっというまに仲間の乗るうーぱっくが落下していくという目まぐるしい展開に、畑襲撃集団のリーダーであるれいむは混乱していた。 「むきゅ、いまのままではやられるわ。れいむ、みんなばらばらににげるのよ。」 れいむの副官たる同乗していたぱちゅりーが声を掛ける。 「う、うん、そうだね、ゆっくりできないね。」 「わかったらはやくしじをだすのよ。」 それでもれいむは混乱していたが、ぱちゅりーは構わず喋る。 「みんな゛ー!ゆ゛っく゛りしないでばらばらになってね!かたま゛ってるとやられち゛ゃうよ!」 あわてて声を張り上げたために所々ひどく濁ってしまったが、れいむは何とか散開指示を出すことができた。 近くにいるうーぱっくから順に進路を変え、四方八方へと飛んでいく。 れいむの声が届かない範囲に居る群れのうーぱっくも、前方の仲間が散開するのを見て自分たちも次々と右へ左へ散っていった。 「まりさはむりしないでやすんでるんだよー。」 続いて到着したちぇんたちが、その後再攻撃のために上昇していたまりさたちの横に並び声を掛ける。 「ゆっ!わかったんだぜ! まりさがこんらんさせるからちぇんがおとしていってね!」 「れんけいこうげきだねわかるよー。」 ちょっとした作戦会議をするまりさとちぇん。 作戦というほどの物でもないが、しかし話し合って役割分担するだけでもバラバラに攻撃するのとはだいぶ違う。 「さきにしたでまってるんだぜ! ゆっくりきてね!」 そういうとまりさたちは散開しかけた群れの真ん中へと再び急降下していった。 「ちぇんたちもいくよー。」 まりさたちが目標の群れに到達したのを見計らって、ちぇんたちも急降下する。 目標を定め、そこまで急降下していくのはまりさの攻撃方法と全く同じだったが、その後が違った。 うーぱっくが群れよりやや高い高度で再度の水平飛行に入ると同時に、ちぇんがその底面から飛び出した。 二本の尻尾をグルグルと回転させながら目標のうーぱっくへと後ろからゆっくり近づいていく。 目標の真上に占位すると、尻尾の回転をすぐさま停止しうーぱっくの中へと落下。 重力を利用して搭乗中のゆっくりを気絶させ、うーぱっくを乗っ取る。 「いうこときかないとあばれるよ、わかるねー?」 体内からうーぱっくを脅して言うことを聞くようにする。 底部を半分だけ開けさせ、気絶中の饅頭を地面への小旅行に強制参加させた後、べつのうーぱっくの上空へと移動させた。 ふたたび空中へ躍り出て、登場中のゆっくりを気絶させ落っことし、乗っ取る。 後はこの繰り返しだった。 ほかの仲間がハイジャック犯を撃退しようと近づいてきても、そのたびに絶妙なタイミングで急降下するまりさに邪魔されてしまう。 いつのまにか群れは2割のゆっくりとうーぱっくを失い、散り散りに飛ぶ烏合の衆へと変化していた。 ディスプレイ中の緑の三角は、まるで赤い集団を切り裂くはさみであるかのような働きをしていた。 緑色が縦横無尽に赤い集団の中を駆けた結果、赤の光点はひどく散開してしまっている。 相当の混乱振りが現場から遠く離れたここでも見て取れた。 「航空、敵集団はどれぐらいの距離だ?」 「あと5分でSAM射程内です。」 「よろしい、総員対空戦闘配置。対空火器使用自由。」 指揮官の指示を受けて各所で復唱が行われ、続いて火器の使用準備がなされる。 「総員対空戦闘配置、総員対空戦闘配置」 「対空砲弾、信管取り付け確認、装填良し、対空砲準備よろしい。」 「ターター誘導弾チェック完了、SAM準備よろしい。」 「防空システム異常なし、対空戦闘準備よろしい。」 彼は部下の働きに満足を覚えると、次に手元の受話器をとり備え付けられたボタンを操作する。 「こちら指揮所、まりさ聞こえるか?」 『ゆっ!きこえるんだぜおじさん!』 受話器の向こうから風交じりの声が届く。 「そろそろ連中から離れたほうがいいぞ、地面を歩いて帰るか。そこで待つか選べ。」 『ゆっ!じゃああるいてかえるんだぜ!』 「よし、何かあったら呼べ。」 まりさたちは特殊な訓練を受けたゆっくりでありそれなりに金が掛かっている為、誤射で失うのは惜しい。 ゆえに攻撃前に退避するよう指示を下した。 もっとも、指揮官たる彼は、ゲスのような口調であるのに中身はゆっくりとしてはかなり真面目な部類にはいるリーダーまりさを気に入っていた事もあり、死なせたくなかったというのもあった。 「敵集団、防空圏に入りました。」 「よし、打ち方はじめ!」 赤い光点がディスプレイのもっとも大きな円の内側に侵入を始めていた。 彼は部下のその報告を受け、直ちに攻撃を開始するよう伝える。 部下が受話器をとって一分もたたないうちにディスプレイ上に青い光点が現れた。 ディスプレイの中央辺りから数秒おきに光点が現れては右へと移動していく。 合計で3つとなったところで光点の発生は終わる。 強制的に幻想入りさせるだとか、日本政府に退役したDDGの物を秘密裏に無縁塚へ流してもらうだとか、とにかく怪しげな方法で揃えたイルミネーターが3つしかない為だ。 改修後のターターDシステムでSM-2スタンダードを利用するならば4倍程度、つまり12発撃てるのだが無い物は仕方が無かった。 大体、これでも大抵の非AEGIS・DDGより同時交戦能力は上なのだ。 ここ幻想郷でそれ以上を望むのは贅沢というものだろう。 ターターが目標と接触したのはそれから30秒後だった。 群れをズタズタに切り裂いていたまりさやちぇんが乗ったうーぱっくは何時の間にかどこかへ消えてしまっていた。 群れのゆっくりたちはその事に気づいてからやっと、畑への進撃を再開しており、今ではつい先ほどの惨劇など忘れたかのようにはしゃぎだす始末。 脅威がすぐそこまで迫っていることに気づいていない辺り、かつてファルクラムに撃墜されたゆっくりたちと全く同じ運命をたどっているが、もちろんそんなことにも気づいていない。 「みんな! ゆっくりあつまってね!」 群れのあるまりさが寂しさに駆られたのか、他の仲間を呼び寄せた。 怖い人間でもみんなで襲えば必ず勝てる、必ずお野菜を取り返せる。 そういう考えの元、仲間たちと一丸となって進撃する事にしたまりさはそれなりに頭が回る方なのだろう。 彼女の不幸は、かつて誘導兵器で撃墜されたうーぱっくの存在、それを知らなかった事から始まっている。 まりさは自身の視界に妙な物が見えることにふと気がついた。 人間であれば「皆既日食」のようであると判定しただろうそれ、つまり漆黒の円とそれを取り囲む光のリングは刻々と巨大化している。 ──なにかな?あれ。 まりさがその短い生涯の最後にそう思った直後、真正面からでは「皆既日食」のように見える、ターター・ミサイルが彼女の乗るうーぱっくとすれ違い、近接信管を作動させて起爆した。 密集状態のうーぱっく、その中央で起爆したターターの破片は4匹のうーぱっくを粉々に粉砕し、6匹を飛行不能状態に陥らせた。 散開したままならばうーぱっくの被害せいぜい2匹か3匹といった所だったが、まりさの提案で密集していたことが被害を拡大していた。 かつて同じような目にあって撃墜されたゆっくりは生還していない為、この事態はまりさの責任という訳ではないが、しかしそれは何の慰めにもならなかった。 残り2発のターターも次々に群れの中で起爆し、さらに11匹が粉砕され、17匹が飛行できなくなって落下していった。 当然だが中に乗っていたゆっくりの生存は絶望的である。 地上をのそのそと進むリーダーまりさの眼前で爆発が三回起きた。 最初の一回目でまりさとちぇん、それにうーぱっくたちは足を止め、上を見上げて「友軍」が「敵」を撃墜する様を眺めていた。 リーダーまりさの胸中の過半は敵が次々と落とされていく事による高揚感に支配されていたが、別のごく一部では一応同種の生き物であるゆっくりが殺戮される事に憤りと恐怖を感じていた。 自然で生きる事を諦め、人間と手を組んで生き残る事に成功した新世代のゆっくりであるリーダーにとっても、やはり人間は恐ろしいものだ。 まりさは下腹部に何か冷たい物を感じながら帰途についた。 「スプラッシュ・ダウン!全弾命中!」 ディスプレイ右側、中ほどのいくつかの赤い光点が、撃墜を示す二本の棒が交差した光点に変化する。 右側の集団を構成していた光点は半分ほどがこの光点に変化し停止しており、残りは互いに離れて動いていた。 第二波三発の光点が再び現れ、今度は上から下へ広がりつつ移動していく。 散開したターゲットを照準しているためだ。 「SAMに伝達、打ち方やめ。」 赤い光点は未だターターの迎撃範囲を抜けておらず、やろうと思えば第三波以降も放てるが、彼は指揮官として誘導弾をこれ以上射耗できないと判断した。 いかに推進機関と誘導装置の一部をお札だとかで構成したパチ物ターターとはいえ値が張るからだった。 ───後は対空砲で料理できるだろう。 そう思う彼の目の前では、ディスプレイ上の赤い光点が同じくディスプレイ上の中くらいの円へ接触していた。 れいむは迷っていた。 群れのリーダーたる母親れいむが目の前で爆死した為に散り散りバラバラに逃走した挙句、現在位置が分からなくなってしまったのだ。 れいむ自身は家族を連れて来ているため、リーダーの母とは別のうーぱっくに乗っていたのが幸いして現在まで生き残る事が出来たが、母を失った悲しみはそんな事では到底補いきれなかった。 「おかーちゃん! さむいよー!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 「ゆっくりしたいー!」 強引な回避機動により眠りから覚めたれいむの子供たちが不満を訴える。 おまけに防寒用に持ってきた藁を殆ど落としてしまい、寒さに震えている。 ───どこかでやすまないとこごえちゃうよ! そう思ったれいむだったが、この辺りの地理には詳しくない。 どこかにその辺り詳しい仲間がいないか、周囲を見回したれいむの判断は真に適切であったといえる。 右をみるれいむ。不気味なほど静まり返った草原が月明かりに照らされている。 背筋が寒くなったが構わず今度は左を見る。 判断できるか出来ないかギリギリの大きさのうーぱっくが見えた。 ───とりあえずちかづいて、きいてみようね! 何もしないよりは聞いてみるべきだと考えたれいむはうーぱっくに指示を出して進路を変えさせる。 ダンボールの床が左へ傾き、ガチガチ震えている子まりさがズリズリと滑っていく。 ゴロゴロと転がった子れいむが壁に当たって妙な声を上げ、餡子を吐き出す。 れいむは親としてその事に気づくべきだったが、自身も寒さで余裕がなくなっている為に気がつかない。 れいむ一家を乗せたうーぱっくはもう一つのうーぱっくへとまっしぐら、接近する二つのシルエットが夜空にぼんやりと浮かんでいた。 近づいたところでれいむはある事に気がついた。 視界の中でだいぶ大きくなったうーぱっく、その右半身に大きな穴が開いておりそこから何かがぶら下がっていた。 その垂れ下がっている植物の蔓のような物体、その先になにやら丸っこい物体が付属している。 「…!…だよ!」 「……ちゃ…よ!」 「……てね!」 うーぱっくの中にいる子ゆっくりが何かを叫んでいる。 蔓の先に子ゆっくりが必死にしがみついていた。 叫んでいるゆっくりたちはその子が落ちないよう必死に応援しているのだった。 蔓をそろそろと揺らさないように引き上げているのは親ゆっくりだろう。 「うーぱっく! あのこのしたにいそいでいってね!」 「うー!」 見捨てるという選択肢は初めから思いつかない。 リーダーの子だけありこのれいむもまたリーダーの素質にあふれているのだろう。 れいむは子ゆっくりが万が一落下しても受け止められるよう、うーぱっくに頼んだ。 その時、れいむの視界右側で何かがチカリと煌く。 ほぼ同時に目の前のうーぱっくが破裂した。 ゆっくりだった物がバラバラに弾けとび、れいむの乗るうーぱっくに当たって水っぽい音を立てる。 ぶら下がっていた子ゆっくりは爆発の勢いで地面へと高速移動、上空でも聞こえるほどの衝撃音を上げた。 これでは形が残っているかどうかも怪しいだろう。 爆発はさらに二度三度と三秒おきに発生し、それにより発生した煙でれいむとうーぱっくの視界は完全に閉ざされた。 目の前の惨劇に思考停止していたれいむは、次は自分の番だと直感的に気づくとうーぱっくに指示を出そうとした。 その瞬間、超音速で飛来した砲弾により、れいむも、うーぱっくも、凍えていた子ゆっくりも粉々に粉砕された。 時を少しさかのぼる。 東からやってきたゆっくりの集団に第一波のターターが到達しようとしていた時、広場から飛んでいったうーぱっくが北の集団と接触した。 南下する侵入者は3匹。 これに相対するうーぱっく6匹はその上空、後方からゆっくりと滑空して近づいていく。 先頭を行くうーぱっくがタイミングを見計らって己の底部を少し開放する。 うーぱっくの中に積み込まれた装備──といっても単なる石ころであるが──がボロボロと下へ落ちていく。 後続のうーぱっくも次々に底部を少しだけ開け、石ころの雨を降らせる。 雨の向かう先は当然、南下する“悪い”ゆっくりとうーぱっくだ。 うーぱっくの上面は多少の水なら物ともしないが、石が雨霰と降ってくるのではどうしようもない。 「ゆっ!なにかあたってるよ!」 自分の上のダンボールが鈍い音を立てて振動するのにまりさが気づいた。 最初の一個二個はうーぱっくの上面に防がれたが、代償として上面のダンボールが歪んでめくれあがる。 ボゴッっとダンボールに穴を開けて飛び込んできた石がまりさに当たる。 衝撃でまりさは少し変形したが、すぐに持ち前の弾力で元に戻る。 「ゆっ? ぜんぜんいたくないよ!」 三個目以降は防御力の低下したダンボールを貫いたが、その時点で運動エネルギーを殆ど失い搭乗ゆっくりにまでダメージを及ぼさなかった。 石は次々に飛び込んできてはまりさに命中する。 最初はなんとも思ってなかったまりさだったが、そのうち痣が増えていき出餡も見られはじめた。 石が当たるたびにまりさの体が激しくへこみ、傷に黒っぽい液体がにじむ。 「ゆ゛っ! いた゛いよ!ゆっく゛りし゛た゛いよ!」 当たる石が増えていくうちにダンボールの穴が増加していき、ついには開いた穴を通過して直接搭乗ゆっくりに命中する石が出るようになった。 石の雨を浴びたうーぱっくはあっという間に上から下まで貫通する大穴を作られスッキリとした姿になって落ちていった。 ディスプレイには大量の赤いバツ印が表示されていた。 侵入者が全て撃退された事を表している。 指揮所の扉が開き、ゆっくりが数匹入ってきた。 「ただいまもどったんだぜ!」 そのまりさの大きな声に、人間たちが一斉に振り向く。 「ご苦労、それでは戦果確認をしようか。」 顔だけ向けた初老の男は落ち着いた様子で入ってきたゆっくりを呼び寄せる。 ゆっくりはのそのそと移動して、彼の前に整列した。 「では、戦果発表だ。今回は目標も多かったからね、皆よく頑張った。まず、一番多いのは…」 整列したゆっくりがゴクリと唾を飲む。 「ちぇん02だ、おめでとう。撃墜4匹だ。」 「ほんと!やったよー!」 呼ばれたちぇんは飛び跳ねて喜んだ。 ゆっくりとまわりの人間が今回の主役を祝福する。 一気に騒がしくなるが、まだ発表は残っていることに気づき、すぐに静まる。 「では次だ。二番目は…」 「以上だ。では撃墜数に応じたバッヂを受け取りなさい。」 彼はデスクの引き出しを開け、同じデザインのバッヂを数十個取り出した。 名前、というか種族と番号を組み合わせた個体識別呼称でゆっくりを呼び、バッヂを何個かつけてやる。 その場のゆっくり全ての飾り(うーぱっくは外皮に直接だが)に新たなバッヂが取り付けられた。 廊下をまりさとちぇんが跳ねながら移動していた。 「こんかいはおめでとうなんだぜ! よっつもおとすなんてすごいんだぜ!」 「ありがとうだよー。 でもまりさもすごいよー。」 まりさの方はリーダーまりさであり、ちぇんは今回最も活躍したちぇんだった。 「まりさはこれで10こめなんだよー。 すごいよー。」 ちぇんの言うとおり、まりさの帽子には茶色い箱を象ったバッヂが10個付いている。 「まりさはなんかいもたたかってるからなんだぜ!」 「がんばりやさんなんだねわかるよー。」 まりさが言うには、一回の出撃でいつも一匹ぐらいしか落とせていない。 自分は出撃回数が多いだけでちぇんの方が凄いという事だった。 「どっちもすごいよ!」 「うー!うー!」 後ろのまりさとうーぱっくにとっては、どちらも別次元の話だ。 「おっ、おじさんが『しゅくしょうかい』してくれるからはやくいくんだぜ!」 リーダーまりさは自分がほめられるのが恥ずかしいのかそんな事を言って駆けていく。 他のゆっくりもあわてて追いかけていき、廊下の角に消えた。 「ところで、SAMが20匹、AAAが17匹墜としてるんですがそっちには何もないんですか?」 結局、コーヒーをこぼしたズボンを取り替えただけの部下が聞く。 「人間がゆっくりを墜としただけで貰える訳無いだろ…常識的に考えて…。」 初老の指揮官はあきれた顔で答えた。 「ですよねー」 __Das Ende__ バッジシステムと聞くとBADGE Systemにしか思えないから困る。 今回書いたのは全然違う物にしかできなかったけどね。 by sdkfz251 今回のターター・システムについて 存在が予言されるドス級うーぱっくの襲撃に備え調達された。 ベースとなったのは幻想入りしてきたチャールズ・F・アダムズ級DDG(艦番号不明)の装備一式。 そこに謎の方法で日本政府に横流ししてもらった<あまつかぜ>のイルミネータを強引に追加したという想定。 本当なら速攻で消えた=幻想入りしてそうなテリアとかタロスにすべきなんだろうけど流石にデカすぎてダメだろうと。 で、ターター・システムにしました どうでもいい話だNE! 業務連絡 ドロワの出演許可ってここでやって良いのだろうか。 是非ネタにしてやって下さい。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/264.html
実に投棄場行き 虐待成分薄めどこか0 ――――――― ゆっくりを虐めたい、そう思い立ち山を歩くこと数分、ゆっくりまりさを見つけた。 草を千切り、口に詰め込んでいるが食べている様子はない。 巣に持って帰るのだろうと思い、ゆっくりまりさの後をつける、 しばらくするとゆっくりまりさの巣であろう小さなほら穴に到着した。 「ゆっくりもどったよ!」 「おかえり、まりさ」 家族がいるようだ、後をつけてよかったと口をゆがめる。 そっと中を覗き込むとにんっしんしているのであろうゆっくりれいむが一個、 幸せでないと胎生の出産はしないと聞くが、心なしかそのゆっくりれいむは悲しそうに見える。 「ここをあかちゃんのねるばしょにしようね!」 ゆっくりまりさは運んできた草をゆっくりれいむの前に広げた なんという幸運、ゆっくりの出産まで見ることができそうだ、 饅頭の事情なんぞ知ったことではない、子ゆっくり共々どうやって虐めてやろうかと思いを馳せる。 「…まりさ、あっちにいってもいっしょにゆっくりしようね」 「ずっといっしょだよ!やくそくするよ!」 あっちに行く?逝く?、出産で死ぬということなのだろうか、どちらにしても意味がわからない。 「ゆげっ…げぷぅ…ぇ゙っ…お゙げぇ゙ぇ゙゙ぇ゙」 エレエレエレエレ 突然ゆっくりれいむが"何か"を吐き出しはじめた、 カエルの卵のような"何か"を。 出産が始まるとばかり思っていたのだがそれよりおぞましい光景に目が釘付けになる。 数分後、いや数秒のことだっただろう、残ったのは白目をむき、苦悶の表情のままピクリとも動かないゆっくりれいむ、 カエルの卵のような"何か"、そしてゆっくりまりさ。 「れいむ、いっしょにゆっくりしようね…ゆぶぅっ…げべぇ…ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙」 エレエレエレエレ 一言放ちゆっくりまりさは白くてどろどろした"何か"を、カエルの卵のような"何か"に吐きかける。 やせ細り、この世の終わりのような表情を浮かべ、ゆっくりまりさも動かなくなった。 後に残されたモノは気持ち悪い"何か"、動かなくなった二つの饅頭、静寂。 「うわああああああああああ!」 何故だかとても恐ろしくなった俺は大声を上げ、その場から逃げ出した。 逃げながら心のどこかで思った、俺は虐待お兄さんにはなれない、と。 ――――――― 最後まで読んでくれた人ありがとう!そしてごめんなさい。
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1569.html
夏の太陽がぎらつく中一人のゆっくりがふらふらと飛んでいた。ゆっくりチルノだ。 普通チルノは夏の間ひんやりした鍾乳洞をゆっくりプレイスとし、夏をやり過ごすものだが 中にはこのチルノのように鍾乳洞(ゆっくりプレイス)を見つけられないゆっくりもいる。 「きゅ~。」 ついに力尽きたチルノは地面に落ちてしまった。雪見だいふくのようなチルノの体は中身が溶けて小龍包のようにたぷたぷになっている。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 チルノは冬までこのままなのだろうか? 「うー!うー!」 空を見上げるとうーぱっくが空を飛んでいる。 行き倒れのチルノを見つけると降りてきたうーぱっくはチルノを中に入れ、再び飛びあがった。 森の奥に飛んでいくと岩肌に板のような石が立てかけてあるのが見える。 うーぱっくは石の前で「うー!うー!」と鳴いた。すると中から石が開きひんやりとした空気が流れてきた。 そのまま中の洞窟に入っていく。洞窟の中はヒカリゴケの青い光でよりひんやりとした感じを与える。 中にはゆっくりチルノ達が飛びまわっている。うーぱっくの中のたれチルノを発見すると洞窟の中に出し、ふーふーと冷たい息を吹きかける。 みるみるうちにチルノの肌は張りを取り戻した。 「あたいってばさいきょーね!」 「うふふ・・・目が覚めた?」 視界の中に入ってきたのは胴付きのふくよかなゆっくり…ゆっくりレティだ。 「さあこれを飲んで元気になりなさい。」 差し出されたのはアイスコーヒーだった。チルノはそれを飲み干すとゆっくり心地がついた。 「ゆっくりしていってね!!!」と他のチルノ達があいさつすると チルノも「ゆっくりしていってね!」と挨拶を返す。しかしこんなところに鍾乳洞は無かったはずだが。 「ここはレティとあたいたちのゆっくりプレイスだよ!」 レティの説明によると洞窟ぐらいの広さならレティの力で冬のように冷やすことができる。食料は他のゆっくり達の食料をを冷蔵する代わり 一部を分けてもらっている。食料を運んできてくれたゆっくりにはかき氷をふるまっている。そうして冬が来るまでゆっくりしているのだ。 冬以外にレティを見かけないのはそのせいだ。しかしゆっくりチルノは”さいきょー”の自負が強いのか単なるおバカなのかカエル取りに夢中になって 鍾乳洞などのゆっくりプレイスから離れすぎて行き倒れになるチルノも多い。レティはそういったチルノを保護しているのだ。 早速このチルノも「恩返しがしたい」と言って外に出ようとしている。 「じゃあこのうーぱっくに入って行きなさい。」 レティはアイスや冷凍ミカンなどこの季節に食べられないものをうーぱっくで配達している。 チルノ達はうーぱっくの中に入って保冷剤の代わりをするのだ。その道すがらこのチルノのようにゆっくりしすぎて行き倒れたチルノを保護するのだ。 「ゆっくりいってくるよ!」 うーぱっくとともにゆっくりの森に飛んでいくチルノ。 「うー!うー!」 「ゆゆっ!うーぱっくだぜ!」 ゆっくりまりさの元に冷凍みかんが届けられた。 「ごくろうさんなんだぜ、これはお礼のコーヒー豆だぜ!」 お礼の豆を受け取ってうーぱっくの中に入ると今度はゆっくり川のゆっくりにとりの魚を預かった。今日は大漁だったようだ。 荷物を積み終えたうーぱっくはレティの洞窟へ帰って行った。 しかし帰り際カエルの群れを見かけるとチルノはたまらず外に飛び出した。 危うくまたたぷたぷになりかけたが今度はそうなる前にうーぱっくに戻り難を逃れた。 カエルの氷漬けも成功しお土産に持って帰った。 こうしてレティとチルノ達は夏を耐え凌ぐ。 ゆっくりできる冬が来るまで。 こういう助け合いの関係 良いですね♪ -- 名無しさん (2010-03-11 14 24 16) 名前 コメント